今年は『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(15)が7月に公開になり、
FOXの「吹き替えの帝王」で『ターミネーター』(84)が6月24日発売と、
いわゆる「ターミネーター・イヤー」なんですねー。
1作目は1984年製作ですが、
日本での劇場公開は1985年5月だったようなので、
ちょうど劇場公開30周年ってことになるわけです。
で、これから『ジェニシス』を観る前に、
過去作品のサントラでテンションを上げてから本編を鑑賞して頂きたい!ということで、
昨年Rambling RecordsさんからDSDリマスター盤となって再発売された、
『ターミネーター2』(91)のサントラ盤をご紹介させて頂きたいと思います。
「ターミネーターのテーマ」は超有名なので、いまさら説明不要ですが、
皆さんの脳内にインプットされている「ターミネーターのテーマ」というのは、
多分1作目のやつじゃなくて『T2』版のものだと思うのです。
「もう何十年と『ターミネーター』の1作目は観てないなぁ」という方は、
是非1作目をを見直して頂きたい。
「ターミネーターのテーマ」のチープなシンセ・サウンドに、
「あれ?こんな音だったっけ?」と面食らうと思いますので。
その点『T2』は予算もアップしてリッチな音に仕上がっておりまして、
フェアライトCMIを2台使ってメタリックなサウンドを作ってます。
80年代ジョン・カーペンター映画風の音楽から一転、
『T2』の硬質な音で響き渡る「ターミネーターのテーマ」の荘厳さといったら、
ラストの名場面(溶鉱炉のアレ)が蘇ってきて感涙必至です。
というわけで「ターミネーターのテーマ」のスタンダードとなっている『T2』ですが、
昨年サントラ盤に新しくライナーノーツを寄稿する機会を頂きまして、
こういう超有名作品のライナーノーツでどんなことを書けばいいのか、非常に悩みました。
いまさら映画のあらすじに文字数を割いても仕方がないし、
撮影秘話とか製作秘話も既にいろんな媒体で出回っているだろうから、
情報としての面白味に欠けるのではなかろうかと。
ではどうするか?と悩みに悩んだ末、
やはり音楽解説をしっかり書かなければいけないだろうと考えました。
メインテーマについてはもう語り尽くされているから、
それ以外の楽曲をしっかり分析しようと。
メインテーマはもう何十回、何百回と皆さんお聴きになっていると思いますが、
それ以外のスコアは意外とスルーしていたりしませんか?
「メインテーマ以外の曲は全く印象に残らない」なんて聴き方をしていたら勿体ない。
せっかく音質が向上したのだから、
スコアの隅から隅まで味わい尽くして頂きたい!
そう思って「スコアの聴きどころポイント」をご紹介させて頂きました。
確かに『T2』の音楽はメロディアスという感じではありませんが、
メタリックな質感の音がニヒルでえらくカッコイイんです。
メタリックとかシンセ・サウンドといっても、テクノとかともちょっと違う。
強いて言うなら「インダストリアル・ミュージック」に近いのでしょうか。
DSDリマスターで音がよくなっているので、
金属的なサウンドも打ち込みのリズムも、
従来より研ぎ澄まされたキレのある音になってます。
ここはひとつ、音を聞いただけでT-1000の存在を感じ取れるぐらいになるまで、
本盤をじっくりと味わって頂きたいですね。
マスタリング・エンジニア、葛巻善郎氏のコメント。
http://sound-track.jp/post-81/
そして作曲家ブラッド・フィーデルの略歴をきちんと紹介しようとも考えました。
フィーデルの作品はあまり国内盤がリリースされなかったし、
最近は半引退状態で彼の動向が全く伝わってこないので、
一度きちんとフィーデルのお仕事履歴を整理しておく必要があるのではないかと。
そう思いまして、デビュー当時から90年代後半までの仕事を拙稿の中でまとめさせて頂きました。
この人、才能はあったのに作品に恵まれなかったタイプですね…。
フィーデルのバイオグラフィーで個人的にツボだったのが、
初期ホール&オーツのサポート・キーボーディストだったという事実でした。
思わずホール&オーツの初期アルバムのブックレットを読み直してしまいましたが、
フィーデルの名前は見当たらなかったので、
恐らくツアー・サポートを務めていたのだと思われます。
ちょっと話がそれましたが、
世紀末ムード漂う『T2』のサウンドをこの機会に是非楽しんで頂ければと思います。
『ターミネーター2』オリジナル・サウンドトラック(DSDリマスタリング)
音楽:ブラッド・フィーデル
レーベル:Rambling Records
品番:RBCP-2811
発売日:2014/10/22
価格:1,800円(+税)