ジョニー・マーのLiquiroom公演の翌日、
ワタクシ仕事で『ピクセル』(15)のマスコミ試写に行ってきたのでした。
懐かしのゲームキャラが地球侵略にやってくるアレです。
この映画、本国での評価が賛否真っ二つで、
アダム・サンドラーのギャグも前半いささかキレがなかった(想定の範囲内)ものの、
NYのパックマンバトルあたりからだんだん盛り上がってきて、
帰りの新幹線の車内でプレス資料を見ながら映画の内容を思い出していたら、
何だかんだで満足感のある105分だったじゃないの!面白いよコレ!と思いました。
で、先日twitterでもちょこっと書きましたが、
帰宅して仕事場の本棚を見たらハッと気づいたわけです。
「この映画『しあわせのかたち』の実写版みたいだったんだ!」と。
『しあわせのかたち』というのは桜玉吉先生がファミコン通信で連載していたギャグ漫画。
初期はゲームパロディ中心のネタをやっておりまして、
ドラクエIIをパロった「ゆうめいRPG II」の回から「おまえ」「コイツ」「べるの」の3人のキャラが立ってきて、
『オホーツクに消ゆ』とか『ワンダーモモ』とかいろんなゲームのパロディをやっていたのですが、
とりわけ今回の『ピクセル』は『しあわせのかたち スペシャル』をやっていた頃のノリに近い。
大雑把にキャラ分類すると、
アダム・サンドラー→おまえ(主人公)
ピーター・ディンクレイジ→コイツ(口の悪いひねくれ者)
ミシェル・モナハン→べるの(紅一点)
ジョシュ・ギャッド→チョリソのぶ(謎キャラ)
…とかこんな感じ。
後半でありあちゃん的な武闘派女性キャラ”レディ・リサ”も出てきますしね。
「ゲームキャラが地球に攻めてきて、ゲームの法則に従って撃退する」というストーリー展開も、
『しあわせのかたち スペシャル』でやっていた暗黒魔王軍団との「ファミスタ対決」とか「ファミコンウォーズ対決」とか、ほぼあのまんまのノリ。
そういう意味では観ていて非常に面白かったし、
ワタクシ『しあわせのかたち』リアルタイム世代なのですげぇ懐かしくなりましたね。
『ピクセル』では「センチピード対決」「パックマン対決」「ドンキーコング対決」の3本勝負がメインということになるのかな。
80年代に少年時代を過ごしたゲーマーたちの、
「こんなこといいな できたらいいな」的な妄想を全て実現させたステキな映画です。
サンドラーのジョークにさほどキレがないとは思ったものの、
この人の映画にありがちな下品な下ネタがほとんどなかった点は好印象でした。
さすが”良識派”エンタメ映像作家のクリス・コロンバス監督。
他の日本未公開系アメリカン・コメディの監督だったら絶対下品なギャグを大量投下してくると思うので。
個人的な希望を言えば、
せっかく「ペーパーボーイ」の主人公が登場しているのだから、
あの破壊力抜群の新聞紙で建物を破壊するシーンとか、
ペーパーボーイの自転車をバイクで追いかけるカーチェイスを入れてほしかったなぁ。。
ゲーム映画といえば『シュガー・ラッシュ』(12)の方が巷の評価が高いようですが、
あの映画はテーマにイマイチ共感出来ないのと、
マンションの住人がラルフに冷たすぎやしませんか?という部分が気になって、
ワタクシあまり好きではないんですよね。。
それだったら『ピクセル』の
80年代カルチャーが大好きだっていいじゃない!
80年代最高!!
…というテーマの方がよほど(世代的に)グッと来る。
映画の性質上、『ピクセル』はレトロゲームの要素がクローズアップされていますが、
実際は「’80s LOVE」がテーマなんじゃないかと思っております。
映画本編でも80年代の洋楽がガンガン流れるし、
レトロゲームだけじゃなくてマックス・ヘッドルームが唐突に登場したり、
ダン・エイクロイドが特別出演していたり、
マドンナやホール&オーツのアーカイブ映像が使われたりしているので、
自分の推測も間違いではないのではないかと。
サンドラーは『ウェディング・シンガー』(98)でも露骨に80年代好きをアピールしてましたし。
…というわけで、80年代に青春時代を過ごした人や、
当時ゲームセンターに行きまくっていた人、
ファミコンで一日中遊び倒した人、
ゲームの中の女性キャラにフォーリンラブしたことのある人、
80年代洋楽を愛してやまない人、
『シュガー・ラッシュ』より『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(11)の方が好きな人なら、
満足感を得られる映画だと思います。
サントラ盤リリーススケジュールの関係上、音楽については前回のブログで書かせて頂きましたが、
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