『キングスマン』は劇中使用曲の選曲センスもキレッキレだった!…の巻

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Pomp and Circumstance (From “Kingsman: The Secret Service”) – amazon MP3

前回『キングスマン』(14)のオリジナル・スコアについて書かせて頂いたので、今回は映画本編で使われた既製曲について。

マシュー・ヴォーン監督作品のシニカルかつ意表を突く選曲センスには『レイヤー・ケーキ』(04)の時から注目しておりましたが(デュラン・デュランの”Ordinary World”の使い方とか)、今回の選曲もなかなかすごかった…。
曲数的には『キック・アス』(10)の時よりも少ないのですが、選曲の裏に込められたユーモアのドギツさは『キック・アス』以上でした。

ひとまず使用曲をざっとリストアップしてみると大体こんな感じ。

Money For Nothing
Written by Mark Knopfler / Sting
Performed by Dire Straits

Bonkers
Written by Dizzee Rascal (as Dylan Mills) / Armand Van Helden
Performed by Dizzee Rascal & Armand Van Helden

Feel the Love
Written by Piers Agget (as Piers Aggett), Kesi Dryden,
Amir Amor (as Amir Izadkhah), John Newman
Performed by Rudimental

Free Bird
Written by Allen Collins / Ronnie Van Zant
Performed by Lynyrd Skynyrd
Courtesy of MCA Records Inc.

Pomp & Circumstance
Written by Edward Elgar

Give It Up
Written by Deborah Carter / Harry Wayne Casey (as Harry Casey)
Performed by KC & The Sunshine Band

Slave To Love
Written by Bryan Ferry
Performed by Bryan Ferry

Get Ready For It
Written by Gary Barlow / Howard Donald /
Mark Owen / Steve Robson
Performed by Take That

Heavy Crown
Written by Iggy Azalea / Jon Turner / Jon Shave /
George Astasio / Jason Pebworth / Ellie Goulding & Salt Wives
Performed by Iggy Azalea and Ellie Goulding

ダイアー・ストレイツのMoney for Nothingは映画のオープニングで使われたアレ。
Bonkersはエグジーとディーンのギャング団との小競り合いのシーンで流れていた曲です。
下町の若者はヒップホップを聴く、ということらしい。

RudimentalのFeel the Loveはクラブのシーンで流れていた曲。

「何だかよく分からないけどライターに火をともして”フリーバード!”と叫びたくなる曲」ことレーナード・スキナードのFree Birdは、アメリカ南部の教会でハリー無双を繰り広げるシーンの曲。サザン・ロックの旗手の代表曲をこのシーンに持ってくるというのはかなり冗談がキツい。

で、「冗談がキツい選曲」と言ったら今回の「威風堂々」に勝るものはないだろうと。
自分はこの先1、2年くらい、「威風堂々」を耳にしたら『キングスマン』の”あの場面”を思い出して複雑な気分になってしまうだろうなと思います。「あれはちょっとやりすぎだろ…」と思う一方で、「まあマシュー・ヴォーンならこのぐらいしれっとやるだろうな」という気もします。

ちなみに『キングスマン』で使われたエルガーの「威風堂々」は、既存のものではなくヘンリー・ジャックマン+マシュー・マージソンが編曲した新録版。サントラ未収録ですが配信で1曲200円で別売りしてます。ジャケット画像はこのブログの一番上の写真です。

ヴァレンタインがパーティー会場で自慢のマシンを起動させて世の中が大変なことになるシーンで流れるのが、K.C. and The Sunshine Bandのノーテンキなディスコナンバー”Give It Up”。
あちこちで殺し合いをやってる時にパーティーソングという選曲も相当冗談がキツい。まあ確かにヴァレンタインも「Eat, Drink and Paaaaarty!!」と言ってましたが。

そんなこんなで事件が一件落着した後、幽閉されていたスウェーデン王女とエグジーの”ご褒美タイム”のシーンで流れ出すのが、ワタクシの大好きなブライアン・フェリーの80年代の大ヒット曲”Slave to Love”。この曲、『ナインハーフ』(86)でも使われてました。

余談ですが「英国ロック界のの伊達男」ブライアン・フェリーは炭鉱労働者の家に生まれた人だったりします。
その後苦学しながらニューカッスル大学でアートを学び、音楽活動を通じてどんどんスタイルが洗練されていったのですが、これこそまさに『キングスマン』のテーマである“Manners Maketh Man”なわけです。
そういうフェリーさんのバックグラウンドを考えると、この曲が選ばれたことにもいろいろ意味があるのではないかと思ったりもするのです。

テイク・ザットのGet Ready for ItとIggy AzaleaのHeavy Crownはエンドクレジットで流れる曲。
マシュー・ヴォーンは『スターダスト』(07)でもテイク・ザットの曲を使っていたので、多分彼らのファンなのだと思います。

『キングスマン』という映画をこよなく愛してしまった方は、iTunesなどを駆使して上記の歌モノを是非フルコンプしてみてください。これで前回ご紹介したスコア盤も購入すればもう完璧です。

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