ベンジャミン・ウォルフィッシュの音楽が素晴らしい『GAMBA ガンバと仲間たち』

GAMBA

11/4にRambling RECORDSさんから『GAMBA ガンバと仲間たち』(15)のサントラ盤が発売になります。

ワタクシの世代で「ガンバ」といえば、
原作の児童文学よりもアニメの『ガンバの冒険』(75)のイメージが強いので、
「これはアニメ版ではなく原作児童文学の映画化作品」…と分かっていても、
妙に頭身の高い今回のキャラデザにはどうしても違和感を憶えてしまう。

ノロイ様もなぜかフリーザ様みたいな中性的ヒールキャラになってたし、
ワタクシ映画本編を観ていて「何でこうなった…?」という消化不良感というか、
いわゆる”コレジャナイ感”が頭から離れませんでした。。

 

けれども、けれどもですよ、

ベンジャミン・ウォルフィッシュの音楽はよかった。

いや、「素晴らしかった」と言わせて頂きたいと思います。

ウォルフィッシュの音楽が素晴らしかっただけに、
興行成績が芳しくない結果になっているのは何とも残念ですね。。

 

さて「ガンバ」の音楽といえばアニメ版の山下毅雄氏の音楽が印象的でしたが、
前述の通り、今回の映画版は「原作小説の映画化」なので音楽も全く別物。
それではウォルフィッシュはどういう音楽を書き下ろしたのかというと、
これが大変胸アツなオーケストラ・スコアだったのであります。

冒険ロマンを盛り上げる正統派のオーケストラ・サウンド。
メインテーマやサブテーマ(ライトモティーフ)を丁寧に積み重ねた楽曲構成。
キャラクターの動きやドラマの進行状況とシンクロした楽曲展開。
そして何より数回聴いただけで憶えられる耳馴染みのよいメロディー。

何だか本作の音楽に耳を傾けていると、
ジョン・ウィリアムズのアドベンチャー音楽を聴いているような気分になるのです。
ウォルフィッシュ自身もウィリアムズの音楽に影響を受けたと言っておりますし。

eiga.comの記事:「GAMBA」作曲家が明かす、“グローバルな作品”を支える映画音楽の重要性

 

映画本編の評価はさておき、
ウォルフィッシュの音楽に関して言えば、
ピクサーやドリームワークスのアニメ映画の音楽に全くヒケをとりません。
劇中流れるメインテーマ/サブテーマの旋律に耳を傾けただけで、
どのメロディーが「勇気」や「友情」、そして「希望」を描いているのか理解出来る、
いい意味で大変分かりやすい音楽に仕上がっているように思います。

ウォルフィッシュさんは『ハリケーンアワー』の時も、
「音楽とキャラクターの関連づけ」を心がけた音作りをしていましたが、
今回の『GAMBA』でもその手法を踏襲した音楽になってました。

ワタクシ『ハリケーンアワー』のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂いた時、
「ベンジャミン・ウォルフィッシュはこれから出てくるよ!」…と確信しておりましたので、
こうして彼の新作がクオリティ高い内容だと嬉しいものがありますし、
今回の『GAMBA』でまたライナーノーツを担当させて頂けたことを光栄に思います。

関連記事:新進気鋭の作曲家、ベンジャミン・ウォルフィッシュの緻密な編曲が光る『ハリケーンアワー』の音楽

ウォルフィッシュには今後ドリームワークスのアニメ音楽なども担当してもらいたいですね。

 

なお日本盤はアルバムの最後に、
主題歌「ぼくらが旅に出る理由」のカヴァーが収録されてます。
「原曲:小沢健二、歌:倍賞千恵子、編曲:高木正勝」
…といういろんな意味でスゴイ組み合わせですが、
高木正勝マジックで個々の強烈な個性が見事なまとまりを見せています。

…というわけで、アニメの『ガンバの冒険』に慣れ親しんできた人には、
初見時の「コレジャナイ感」が高いハードルとなって立ちはだかる本作ではありますが、
ベンジャミン・ウォルフィッシュの音楽は絶品なので、
サントラ愛好家の方々には音楽だけでも聴いて頂きたいところです。

 

『GAMBA ガンバと仲間たち』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ベンジャミン・ウォルフィッシュ
レーベル:Rambling Records
品番:RBCP-2968
発売日:2015/11/04
価格:2,400円(+税)

 

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