007の音楽は『ワールド・イズ・ノット・イナフ』が一番好きなのです

world is not enough

先週『007 スペクター』(15)のサントラ盤を購入したのですが、
当方の予想以上にシブい(地味な)音楽でした。
前作の『007 スカイフォール』(12)もかなり「いぶし銀の音楽」という印象だったけど、
それを上回るシブさになるとは…。

ワタクシはトーマス・ニューマンが好きなので、
「なるほど今回はこう来ましたか!」という具合に聴けるのですが、
ニューマンにさほど思い入れのない007ファンは複雑な心境だろうなーと思ったら、
案の定『スペクター』の音楽の評価は賛否真っ二つに分かれている様子。

まぁワタクシは『スペクター』の本編をまだ観ていないので、
感想は映画を観てからということにさせて頂きたいと思います。

 

海外のレビューサイトではデヴィッド・アーノルド復帰待望論まで出ているようですが、
ワタクシも007シリーズで一番好きな音楽は『ワールド・イズ・ノット・イナフ』(00)だったりするのです(ただしLUNA SEAの日本版主題歌は不要)。
近作(『ゴールデンアイ』(95)以降)の007音楽を好きな順に並べるとこんな感じかなー。

1.『ワールド・イズ・ノット・イナフ』(00)
2.『ゴールデンアイ』(95)
3.『カジノ・ロワイヤル』(06)
4.『スカイフォール』(12)
5.『スペクター』(15)
6.『慰めの報酬』(09)
7.『トゥモロー・ネバー・ダイ』(98)
8.『ダイ・アナザー・デイ』(03)

『ワールド・イズ・ノット・イナフ』の音楽のいいところは、

1. 主題歌を本編の映画音楽家(=デヴィッド・アーノルド)が作曲している。
2. ゴージャスなフルオケ・サウンドとノリノリのテクノビートの華麗なる融合。

この2点ではないかと思っております。
映画自体もやや複雑なストーリー展開とか、
黒幕の正体が実はアレだったというビターな内容とか、
「スパイの仁義」を貫いたズコフスキー(ロビー・コルトレーン)の最期とか、
個人的にかなり好みでもあります。

 

007音楽は『トゥモロー・ネバー・ダイ』からテクノ化が進みましたが、
(プロペラヘッズをフィーチャーしたBackseat Driverとか)
『ワールド・イズ・ノット・イナフ』でさらにハデになった感じですかね。
冒頭のボートチェイス、
前半のスキーアクション、
中盤の地下核兵器試験場シーン、
後半のキャビア工場でのチェーンソー・ヘリ戦でのテクノなリズムが素晴らしい。
特にチェーンソー・ヘリ戦のシーンはすごかった。
チェーンソーの耳障りな音に勝るとも劣らないノイジーなテクノビートは、
007映画史上最もエッジィなサウンドだったのではないかと今でも思います。

つまり『ワールド・イズ・ノット・イナフ』のデヴィッド・アーノルドの音楽は、
『スターゲイト』(94)や『インデペンデンス・デイ』(96)で見せた”フルオケの達人”の一面と、
ポップ・ミュージック畑出身らしい”電子音マスター”の一面が両方楽しめるわけです。
ブロスナン・ボンド時代の最高傑作は『ワールド・イズ・ノット・イナフ』で決まり!と個人的には思っております。

goldeneye

ちなみに2番目に好きなのは『ゴールデンアイ』なわけですが、
この件については以前「エリック・セラの音楽もいいじゃない!」という感じでブログに書いたので、
そちらも併せてご覧頂ければと思います。

関連記事その1:『007 ゴールデンアイ』の音楽は是か非か
関連記事その2:『007 ゴールデンアイ』の音楽は是か非か(前回の続き)

セラの007音楽もワン・アンド・オンリーな感じで個人的にかなり好きです。
今後もああいう感じの007音楽は作られないと思います。

近い将来、もしクリストファー・ノーランあたりが007映画の監督になったら、
やっぱり音楽担当はジマーさんになるんでしょうかねー。
その時はジョニー・マーがギタリストに呼ばれて、
彼が”007のテーマ”をギターで弾いてくれたりするんでしょうか。
そうなるとまた賛否真っ二つに分かれたりするんでしょうけど、
ワタクシ的には大変楽しみでもあります。

 

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