3月は『アーロと少年』(15)日本公開ということで、
「ケルティック・ロマンス」をリリースしている弊社では、
マイケル&ジェフ・ダナ宣伝強化月間とさせて頂いております。
今回はその『アーロと少年』の本編前に上映される短編映画、
『ボクのスーパーチーム』(15)について書かせて頂きたいと思います。
今回のピクサー短編アニメは非常に中身の”濃い”作品になっていまして、
お祈りの時間が退屈で仕方がない戦隊ヒーロー大好きインド人少年サンジェイが、
「ヒンドゥーの神様が戦隊ヒーローになって悪魔と戦う白昼夢」を見た結果、
「信仰・崇拝」の概念を何となく理解して、
厳格な父親も戦隊ヒーロー好きの息子に一定の理解を示して、
親子で心が通じ合うようになる、というようなお話しでした。
ちなみにこのエピソードはサンジェイ・パテル監督の実体験に基づく話だそうです。
で、サンジェイ少年の見る白昼夢(妄想)がなかなか凝った映像になってまして、
ヴィシュヌ、ドゥルガー、ハヌマーンといった『女神転生』シリーズでもおなじみのヒンドゥーの神様が、
「ブルー・ヴィシュヌ!!」
「レッド・ドゥルガー!!」
「グリーン・ハヌマーン!!」
…といった感じで颯爽と登場して悪と戦う様子が描かれておりまして、
コミカルな短編ながら結構な迫力です。
ディズニー/ピクサー映画で、
マイケル・ダナのスーパーヒーロー音楽(しかもインドなサウンド)が聴けるとは思わなかったよ…。
いい時代になったものです。
…というわけで、『ボクのスーパーチーム』の音楽は、
我らがマイケル・ダナさんが音楽を担当しているのですが、
当初は「『アーロと少年』の音楽とセットで契約したのかな?」と思っておりました。
ところがマイケルさんに話を聞いたら、
『アーロと少年』と『ボクのスーパーチーム』は全く別の流れで作曲の話が決まったらしいです。
この話は『アーロと少年』のサントラ盤ライナーノーツに書こうと思ったのですが、
字数に余裕がなかったので泣く泣く断念することになってしまいました。
しかしこのままネタをボツにしてしまうのも勿体ないので、
マイケルさんの話を要約してブログでご紹介させて頂きます。
マイケルさんがミーティング(たぶん『アーロと少年』の)でピクサー本社に行った時、
ホールでサンジェイ・パテル監督と偶然会ったのだそうです。
その時マイケルさんは飛行機の中で読んでいた本「バガヴァッド・ギーター」を手に持っていて、
それに気づいたパテル監督が声をかけてきて、
何だかんだで30分くらい話し込んでしまったのだとか。
「彼(=サンジャイ)がブック・アニメーターなのは知っていたけど、
その時は映画(=『ボクのスーパーチーム』)のことは全く話さなかったし、
彼が映画を作っていることも知らなかったんだ」
…とのことで、ピクサー本社のホールで文字通り”雑談”をしただけだったみたいです。
「その後2週間ぐらいしてからだったかな、
彼から連絡が来て、
僕の音楽を聴いて気に入ったから、
いま製作中の短編映画の音楽を書いてほしいと言ってきてくれたんだよ。
それでこのゴージャスな作品の仕事をする機会に恵まれたというわけなんだ」
…という経緯があったそうです。
「何で”バガヴァッド・ギーター”なんて読んでたの?」と思われるかもしれませんが、
マイケルさんは『ライフ・オブ・パイ』(12)や『モンスーン・ウェディング』(01)など、
もともとインド音楽やインド文化に造詣の深い作曲家なのです。
(ちなみにマイケルさんの奥様もインド系の女性)
『ボクのスーパーチーム』は題材的に考えてもマイケル・ダナ以外ありえない作品だったので、
マイケルさんとパテル監督との出会いも偶然ではなく必然というか、
何か出会うべくして出会ったような運命的なものだったのかもしれませんね。
短編だからサントラが出ないのが残念です。
短編の『ボクのスーパーチーム』と本編の『アーロと少年』で、
マイケル・ダナ(とジェフ・ダナ)の音楽が一度に楽しめるなんて、
20年近くダナマニアをやっていて最高に素敵な経験でしたよ。。
そんなわけで『アーロと少年』のサントラと、
弊社リリース作品『ケルティック・ロマンス』も併せてよろしくお願いいたします。
『アーロと少年』オリジナル・サウンドトラック
音楽:マイケル・ダナ&ジェフ・ダナ
レーベル:Walt Disney Records/エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ
品番:AVCW-63127
発売日:2016/03/09
価格:2,500円(+税)
※2018年8月25日追記
Walt Disney Recordsのライセンスがエイベックスからユニバーサルミュージックに移ったのに合わせて、『アーロと少年』のサントラ盤もユニバーサルからリイシューされるようです。