ジェフ・ダナ名作選:『処刑人II(The Boondock Saints 2: All Saints Day)』

the boondock saints 2

3月は『アーロと少年』(15)日本公開ということで、
「ケルティック・ロマンス」をリリースしている弊社では、
マイケル&ジェフ・ダナ宣伝強化月間とさせて頂いております。

今日はアイルランドの祝日「聖パトリックの祭日」でもありましたので、
『処刑人II』(09)について書かせて頂きたいと思います。

 

『処刑人』(99)についてはもはや説明不要でしょう。
“神の啓示”を受けたサウスボストンのマクマナス兄弟が、
法で裁けぬ悪党どもを容赦なく抹殺していく痛快バイオレンス・アクションですね。
スメッカー捜査官を演じたウィレム・デフォーの怪演も素敵な映画でした。

で、前作から10年を経て製作された続編だったわけですが、
まぁ正直言って「やはり1作目は偉大だった」というか何というか、
キャスト/スタッフが同じでも前作を超えるものは作れなかったなぁという印象です。

前作で面白かったネタや演出を踏襲して見せてくれているのはいいのですが、
作り手側が「ここ面白いだろ?」と思って仕込んだであろうギャグが空回り気味だったり、
映画ネタがあざとかったりして、イマイチ乗り切れない。
『ランボー 最後の戦場』(08)に出ていたジュリー・ベンツが、
イカレ系セクシー捜査官を熱演しているのは買ってあげたいのだけれども、
何しろ前作のデフォーが強烈すぎたので、
「頑張ってるけどデフォーさんと比べるとねぇ…」となってしまう。

 

そんなわけで何だか不完全燃焼気味だった映画本編ではあるのですが、
それでも本作が作られたことには意義があったと思うわけです。
なぜなら今回はサントラ盤がきちんと作られたから。

『処刑人』は日本でスマッシュヒットを飛ばしたので、
サントラ盤の発売を心待ちにしていたファンもたくさんいました。
しかし1作目は映画化に至るまでとにかくゴタゴタしたらしいし、
その後も映画の資金提供や配給を担当した会社と5年近く訴訟が続いていたらしいので、
(続編製作に10年かかったのもそのせいです)
サントラを出すどころの話じゃなかったわけです。
でも今回の『処刑人II』では全部カタがついたのか、
「『処刑人』オフィシャルサイトでの限定販売」という形でサントラが発売されたのでした。
iTunesでも取扱中

 

内容は『処刑人II』の映画本編で使われた歌モノ&テクノが12曲と、
ジェフ・ダナのオリジナル・スコア11曲の合計23曲。
そして1作目のファンには嬉しいことに、
今回も1作目の主題曲やライトモティーフを使っているので、
「ずっと聴きたかったあのスコア」が聴けるようになっております。
アルバム14曲目のSaints From The Streetsとか、
20曲目のSkyscraper Assaultとか、
21曲目のThe Last Gun Battleあたりなどの曲は、
前作で聴いたことのあるメロディーが確認出来ると思います。

したがって今回のスコアも「ミサ曲+テクノ」という感じの曲調になっているのですが、
今回はピーター・フォンダ扮する”イタリア人”が物語のカギとなっているので、
イタリアの伝統音楽(フォーク・ミュージック)的なスコアが登場するのがポイントとなっております。

『処刑人II』についてのジェフさんのコメントは以下の通り。

「僕はトロイ・ダフィー監督の『処刑人』でまた仕事を出来る日をずっと楽しみにしていました。
なぜなら僕はマクマナス兄弟からインスパイアされた音楽が大好きだったからです。
言うなれば聖歌とケルト音楽、そしてヘヴィな電子音のカクテルのようなサウンドですね。
また、トロイはドライヴ感のあるテーマ曲と、
ビリー・コノリー扮するノアの若い頃を描くための古いイタリア音楽を書いてほしいと言ってきました。
そこで僕はイタリアン・フィドルとアコーディオン、クロテイル(アンティーク・シンバル)を使うことにしたんです」

…で、”ドライヴ感のあるテーマ曲”ということで、
あのThe Blood of Cu Chulainnも新アレンジで収録されてます。
原曲にロックなドラムとエレキギターが加わった感じですね。

余談ですがワタクシ東日本大震災の後、
『処刑人II』のサントラを自分のレーベルで国内流通させてもらえないか、
権利元と交渉しようかなと一瞬考えたことがありました。

ただ前述の通り『処刑人』シリーズは過去に訴訟などもありましたので、
何かあったらとても面倒なことになりそうな気がして、
結局リリース交渉を断念したのでした。

MGMU1005

そしてワタクシはThe Blood of Cu Chulainnの原曲が収録されている『ケルティック・ロマンス』のリリースを選んだわけですが、
おかげさまで4年経った今もアルバムが売れているので、
結果として自分の選択は正しかったのではないかなと考えております。

 

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