キャメロン・クロウ監督作『シングルス』(92)を久々に鑑賞。
当時「イカす音楽とファッションの発信地」として脚光を浴びていたシアトルを舞台に、
6人の独身男女の恋愛模様をユーモラスに描いた作品です。
個人的にクロウ監督の最高傑作ではないかと思っております。
(この時代のキャメロン・クロウはよかった…)
主なキャストはマット・ディロン(ロックバンド「シチズン・ディック」のリーダー・クリフ)、
ブリジット・フォンダ(クリフのガールフレンド、ジャネット)、
キャンベル・スコット(運輸省で超特急パーク&ライド計画に携わる公務員スティーヴ)、
キラ・セジウィック(環境保護委員会の職員リンダ)などなど。
主役はスティーヴとリンダなんですが、
サブエピソード担当のクリフとジャネットが実にいい味を出しておりまして、
巨乳好きのクリフのために豊胸手術を考えるジャネット(貧乳)が最高に可愛い。
そんなブリジット・フォンダも今やダニー・エルフマン夫人。時の流れを感じます(涙)。
ちなみにジャネットに豊胸手術を思いとどまらせる美容整形外科の医者を演じているのは
ビル・プルマン。
他にも「彼は2代目スコセッシよ!」と紹介されるビデオ・ディレクター役のティム・バートン、
『エイリアン』(79)のトム・スケリット(シアトル市長役)、
『スモーキン・エース』(07)のジェレミー・ピヴェン、
『キリング・ゾーイ』(93)のエリック・ストルツ(パントマイム芸人役)、
キャメロン・クロウ監督(インタビュアー役)等もカメオ出演してます。
ストルツは当時ブリジット・フォンダの恋人でした。
ヴィクター・ガーバーやポール・ジアマッティも端役で出ています。
余談ですが、映画の後半でスティーヴのパーク&ライド計画がシアトル市長からダメ出しを喰らって、
スティーヴは失意のあまり辞職(クビになったのかもしれない)してしまうのですが、
これを見ると本当にアメリカ人は車が好き(=電車が嫌い)なんだなーと思ってしまう。
ま、そんなこんなでこの映画の音楽なんですが、
これがまたロック好き垂涎のサントラというか何というか、
すごい顔ぶれが揃ってます。
まず、主題歌とスコアを担当しているのが元リプレイスメンツのポール・ウェスターバーグ。
主題歌の”Waiting for Somebody”と”Dyslexic Heart”はキャッチーで最高。
シチズン・ディックのメンバーとしてパール・ジャムのエディ、ジェフ、ストーンが顔を出しているほか、
彼らは未発表曲”Breath”、”State of Love and Trust”も提供。
そのシチズン・ディックの持ち歌”Touch Me I’m Dick”を作曲したのはマッドハニー。
「ベルギーでは売れている」バンドだそうです(クリフの劇中のセリフ)。
そしてアリス・イン・チェインズは”Would?”と”It Ain’t Like that”をライブハウスのシーンで熱唱。
これがまたグランジィかつハードロックな感じでイカす。
後者の曲は惜しくもサントラ未収録。
懐メロも結構使われてますが、
別格扱いなのはリンダとスティーヴのロマンティックなひとときを演出するジミ・ヘンドリックスの”May This be Love”。
さすがキャメロン・クロウ、ここぞという時の懐メロの使い方が相変わらずウマい。
劇中で使われた約30曲のうち、
サントラ盤にはシアトルのグランジ勢の曲を12曲+ジミヘンの曲を1曲収録。
■トラックリスト
1. Would? – Alice in Chains
2. Breath – Pearl Jam
3. Seasons – Chris Cornell
4. Dyslexic Heart – Paul Westerberg
5. Battle of Evermore – The Lovemongers
6. Chloe Dancer / Crown of Thorns – Mother Love Bone
7. Birth Ritual – Soundgarden
8. State of Love and Trust – Pearl Jam
9. Overblown – Mudhoney
10. Waiting for Somebody – Paul Westerberg
11. May This Be Love – Jimi Hendrix
12. Nearly Lost You – Screaming Trees
13. Drown – Smashing Pumpkins
映画公開当時は「流行最先端の音が詰まったアルバム」だったわけですが、
今は「90年代のあの頃」を振り返る1枚として、
また違った面白さが味わえるサントラになっているのではないかと思います。
中古CDショップで見かけたら即保護しましょう。
後に『マン・オブ・スティール』(13)で使われる事になる、
クリス・コーネルのソロ曲”Seasons”も収録されているので、
買っておいて損はないと思います。
ちなみに国内盤を買っても歌詞・対訳は載ってません。残念。