Varese Sarabandeの公式ツイッターは映画音楽家さんのバースデー祝いツイートをマメに投稿して下さるのですが、
先週はクリストファー・ヤングとヤン・A.P .カチュマレクの誕生日でした。
ワタクシ彼らのサントラは結構好きで買っているので、
ここはひとつ両氏の誕生日を祝して、
ワタクシの好きなヤング&カチュマレクのサントラをご紹介させて頂こうかなと思います。
まずはクリストファー・ヤングから。
Happy Birthday Christopher Young 🎂 We’ve worked with him for over 30 years and he’s truly one of the great composers working today! pic.twitter.com/9XEpB4vOJB
— Varèse Sarabande (@VareseSarabande) 2017年4月28日
この方は『ヘルレイザー』(87)や『ザ・フライ2 二世誕生』(89)など、
ホラー映画の作曲家というイメージが強いのですが、
(実際、最近も『フッテージ』(12)や『NY心霊捜査官』(14)の音楽を担当してるし)
キャリア初期にジャズドラマーだったこともあって、
ジャズ系のサントラに良作が多いのが特徴です。
ワタクシの中では何と言っても『ラウンダーズ』(98)、『知らなすぎた男』(97)、『ワンダー・ボーイズ』(00)の3つが最高。
『ラウンダーズ』はジャジー&ブルージィな音がカッコイイし、
『知らなすぎた男』はヘンリー・マンシーニ調のジャズ・スコアが楽しい。
『ワンダー・ボーイズ』は文学科男子版『ミッドナイト・ラン』的なブルース風味の音楽が味わい深い。
ヤングのサントラの中ではこの3つをいちばん聴いているような気がします。
スリラー系では『アンフォゲタブル』(96)と『ジェニファー8』(92)が出色。
気怠げなサウンドの中にホラー映画で培ったショッキングな音響演出と、
メランコリックな美しさを織り込んだ音作りがいい感じです。
アクション系では『ソードフィッシュ』(01)、『ザ・コア』(03)、『フラッド』(98)あたりがいい感じ。
『ソードフィッシュ』のサントラはヤングの作品というより、
ポール・オークンフォールドのコンピ盤的な色合いが濃かったので、
ヤングの音楽をじっくり聴きたかったら映画本編を観るしかないのですが。
『フラッド』はトゥーツ・シールマンスが密かにハーモニカを吹いているのがポイントかと。
Happy birthday to composer Jan A.P. Kaczmarek! pic.twitter.com/fcP6lVmiKU
— Varèse Sarabande (@VareseSarabande) 2017年4月29日
一方、ヤン・A.P. カチュマレクはと申しますと、
ワタクシの中では『運命の女』(02)と『ロスト・ソウルズ』(00)がベストだと思っております。
『運命の女』は映画自体もすごく好きなのですが、
ピアノ・ソロをメインに据えた流麗なオーケストラ音楽が素晴らしかった。
美しい旋律を聴かせる一方、
女声ソロやツィンバロンの不吉な音で、
不倫に走る人妻の情欲と道徳的葛藤を表現する技法も秀逸でした。
聖歌隊のコーラスをフィーチャーしたカチュマレクの格調高い恐怖音楽が、
ヤヌス・カミンスキーのハイセンスな映像と見事にマッチした『ロスト・ソウルズ』も隠れた名作。
(この映画、カミンスキーの監督デビュー作でした)
ヤングはハンス・ジマーやダニー・エルフマンらに比べるとマニアックな印象ですし、
カチュマレクに至ってはこの15年のあいだ、
「カズマレク」「カズマレック」「カチュマレク」と一向にカタカナ表記が安定してくれない音楽ライター泣かせの状況が続いていますが、
才能豊かな作曲家なので、彼らの音楽にも是非耳を傾けて頂きたいなと思います。