ある意味、見どころ満載。 19年目の『ジャッカル』(97)雑感

先日ザ・シネマで『ジャッカル』(97:リメイク版)を放送していたので、懐かしさも手伝って久々に本編を鑑賞。

なお映画の製作年度は1997年ですが、日本公開は1998年だったのでブログタイトルは「20年目」ではなく「19年目」とさせて頂きました。

 

ワタクシこの映画を映画館で観ましたが、当時も映画の評判があまりよろしくなくて、”The Day of The Jackal”のタイトルを巡ってオリジナル版の監督とひと悶着あったとか、嘘か真かブルース・ウィリスとリチャード・ギアが撮影中不仲だったとか(確かに性格的に合いそうな気がしませんが)、興行的にコケたとかいろいろありましたが、まあそれでも個人的には結構思い出深い映画だったりするのです。

…というのも、ワタクシこの映画のおかげでマッシヴ・アタックを聴くようになったんですね。
映画のオープニングタイトル曲がカッコよくて、調べてみたらマッシヴ・アタックの”Superpredators”という曲だったと。

で、サントラ盤を買ったらこの曲は入っていたけどエンドクレジットの曲が入ってなくて、エンドクレジットを確認したらこれもマッシヴの”Endtrack”という曲だったことが分かって、後にマッシヴの3rdアルバム「メザニーン」を買ったら、”Dissolved Girl”というタイトルで収録されていて、「これが聴きたかったんだよぉぉ!」と宝物を見つけたかの如く喜んだ思い出があるのです。
後年、”Endtrack”は”Dissolved Girl”の初期バージョンにあたる曲だったことや、”Dissolved Girl”が『マトリックス』(99)でも使われたことを発見するのですが。

 

他にもジャック・ブラックが脇役ながら強烈な印象を残す役で出ていたとか、今だったらジャッカルと対等に渡り合えそうな”フレッチャー先生”ことJ.K.シモンズがあっさり殺されるFBIエージェント役で出てるとか、『LOST』のジン役の人がAkashi(明石?)なる日系人(?)の役で出てるとか、ブレイク前の役者が脇役でぞろぞろ出ていて、いま観直してみるとなかなか面白い。

そして映画の終盤でジャッカルの人質にされていた女の子。20年経ってすっかり大人のレディーになっておりました。よく見ると『ジャッカル』撮影時のころの面影が残ってるような気がします。

劇中で「マギー」と名乗っていましたが、ご本人のお名前もマギー・キャッスルさんだったというムダ知識。カナダの子役だったみたいですね。どうりで迫真の恐怖演技だと思った。

 

ところでこの映画、デジタルロックのコンピレーション的なサントラ盤は出たのですが、カーター・バーウェルのスコア盤がリリースにならなくて、バーウェルの音楽が好きな自分は「何でかなー」とずっと思っていたのですが(映画がコケたからだろうとは薄々思っていましたが)、それも数年前に解決しました。

カーター・バーウェルのオフィシャルサイトで本人によるメモが公開されているのですが、『ジャッカル』はバーウェル的に非常に不満の残る仕事だったようです。
バーウェルメモをかいつまんで要約すると、『ジャッカル』は脚本がマズかったし、展開ももっさりしてたし、何より自分の作った曲をダニー・セイバーに勝手にいじくられたのがご不満だったらしい。

バーウェルとマイケル・ケイトン・ジョーンズは、『ドク・ハリウッド』(91)、『ボーイズ・ライフ』(93)、『ロブ・ロイ/ロマンに生きた男』(95)でコンビを組んだ盟友だったはずですが、どうもジョーンズはスタジオから「もっと音楽をアップテンポにしろ」と圧力をかけられたらしく、前述のダニー・セイバーを呼んできてバーウェルのスコアを”リミックス”したところ、それがバーウェルの機嫌を完全に損ねてしまったという感じのようです。そりゃこんなことがあったらスコア盤は出ませんわね…。

『ジャッカル』のゴタゴタで両者の間に溝が出来てしまったのか、これ以降バーウェルはマイケル・ケイトン・ジョーンズとコンビを組んでおりません。
この二人、結構いいコンビだったんですけどね…。特に『ロブ・ロイ』のアイリッシュ・スコアはかなりいい出来だったのですが。

ワタクシこういう話を聴く度に毎度思うのですが、撮影した作品自体の不出来を、音楽をいじくって何とかしようという発想は間違いではないですかね…?

…とまぁ話が逸れてしまいましたが、ブレイク前の俳優の貴重な脇役時代の姿とか、子役時代のマギーさんの迫真の演技とか、ダニー・セイバーに好き勝手にいじくられたカーター・バーウェルの音楽の善し悪しとか、映画公開から20年近くたって観直してみるべきポイントも多い作品ではないかと思います。

当時と違った視点で是非『ジャッカル』を観てみて下さい。

 

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