要注目の俳優、マーク・ストロング

先日『ワールド・オブ・ライズ』(08)をDVDで観たのですが、いやーヨルダン情報局の局長ハニ・サラームはクールでカッコいいですな。

砂漠のど真ん中でもダークカラーのスーツを着用。洗練された物腰と、「決して(私に)嘘をつくな」と凄みを利かせる時の不敵な存在感。CIAのエド(ラッセル・クロウ)がメタボ体型の食えないオッサンなので、ハニのカッコよさがさらに引き立ってます。

ま、結局この人がレオ様を囮にしてアル・サリームを逮捕したわけですが(看護婦さんのアイシャ誘拐を偽装したのも実はこの人)、拷問で指を潰されたレオ様を間一髪の所で救出。しまいには満身創痍のレオ様に「彼女の愛は自分で勝ち取れ」と余裕たっぷりにアドバイス。ハニ・パシャ、マジで格好良すぎます。

そのハニ・サラームを演じているのは、イギリス人俳優のマーク・ストロング(1963年生まれ)。『アンタッチャブル』(87)の頃のアンディ・ガルシアを彷彿とさせる、「端正」で「濃い」タイプの役者ですな。『シリアナ』(05)にも出ていたので、てっきり中東系の血が入っているのかと思いましたが、どうも父親がイタリア人らしいので、そっち系の「濃さ」みたいです(ちなみに本名はMarco Giuseppe Salussoliaというそうで、母親はオーストラリア系との事)。

そういえば、『リボルバー』(05)で演じた神経症のヒットマン・ソーター役も、過度な拷問に嫌気がさして仲間のチンピラを射殺するという人情味溢れる行動(?)にグッと来たし、『ロックンローラ』(08)で演じたヤクザの親分の腹心アーチー役(ナレーションも担当)もオイシイ役どころでしたなぁ。「切れ者」って点でハニ役に通じるものがあります。

『バビロン A.D.』(08)は何となく登場してあっさり消されるチョイ役でしたが、トータルで見るとよい作品/役柄に恵まれているのがこの方のポイントでしょう。

特にリドリー・スコットとガイ・リッチーにはかなり気に入られたらしく、リッチーの新作『Sherlock Holmes』(09)ではホームズの宿敵Lord Blackwood役、リドリーの次回作『Robin Hood』(10)ではSir Godfrey役を演じる予定だそうで、これはもうブレイク必至かと。こういう味のある演技巧者が脇を固めると、映画も3割増しで面白くなるなぁ、と思った次第。

他にも『サンシャイン2057』(07)とか『トリスタンとイゾルデ』(06)とか『オリバー・ツイスト』(05)にも出演しているので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。