天才少女メアリーのかわいらしさと聡明さをバランスよく描いた『gifted/ギフテッド』の音楽

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、『gifted / ギフテッド』(17)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。

前回は作曲家ロブ・シモンセンへのインタビューが実現した経緯について書きましたが、今回は音楽の雰囲気や収録曲について。
まぁあんまり詳細に書いてしまうとサントラ盤ブックレットの意味がなくなってしまうので、大まかな内容が伝わる程度にざっくりと。

…というわけで収録曲は以下の通り。

1. School / Early Morning (Timothy Seth Avett) 2:54
2. Mary’s Theme 2:00
3. The Test 3:32
4. School Projects 0:57
5. Evelyn 0:48
6. Sunset 2:32
7. Sneaking 1:19
8. Rules 1:07
9. Boston 0:45
10. Family History 1:49
11. A Nice Night 0:59
12. Genius 1:10
13. Father vs Uncle 1:10
14. Mother & Son 2:15
15. When You Were Born 2:37
16. Grandmother 2:38
17. Diane’s Brother 3:02
18. Pretty Bird (Crooked Still) 3:51
19. I’m a Hero 1:05
20. Acceptance 1:28
21. Fred 2:04
22. I Made a Mistake 1:53
23. Your Daughter Needs You 1:28
24. Diane’s Gift 1:28
25. Gifted 2:21

「サントラに歌は入ってるの?」と思われる方も多いと思うのであらかじめお伝えしておきますと、クルキッド・スティルの”Pretty Bird”を1曲収録してます。物語後半の里親が登場するあたりのシーンで流れていた曲ですね。カントリー歌手ヘイゼル・ディケンズのカヴァーです。

映画のオープニングで流れるアコースティックギター曲はシモンセンのスコアではなく、アヴェット・ブラザーズのセス・アヴェットが書き下ろしたインスト曲です。
『(500)日のサマー』(09)ではボーカル曲をガンガン使ったマーク・ウェブ監督ですが、今回歌モノの使用はかなり控えめです。

…となるとシモンセンのスコアが音楽演出の面で非常に重要になってくるわけですが、これがまた素晴らしいんです。
カリンバ・ピアノ・アコースティックギターを用いて、マッケナ・グレイスの愛らしさを描きつつも、彼女の”知性”をしっかり音で表現して、叔父や祖母との関係性も丁寧に描いている。

通常、こういうヒューマンドラマの音楽はライトモティーフの技法を使って、「主人公メアリーのテーマ」「叔父フランクのテーマ」「祖母イブリンのテーマ」を変奏させるタイプが多いですが、才人マイケル・ダナのもとで修行を積んだシモンセンはそれとは異なるアプローチを採ってます。

当時かなり話題になったiPhone5のCM曲をお聴きになれば分かると思いますが、シモンセンはミニマルな音作りを得意としておりまして、「少ない音での音楽の聞かせ方」「必要最低限の音で聴き手の心に訴えかけるメロディー作り」に長けているんですね。
なので今回の『ギフテッド』の音楽も、いたずらに音数を増やさずに、素朴なメロディーと厳選された「記号的な楽器」で家族ドラマを描いている。このシンプルなサウンドが聞いていて実に心地よいのです。
全体的にアコースティックな質感の音でありながら、そこはかとなく電子音がさざ波のように聞こえてくる音作りも癒やされます。

シモンセンの音楽の魅力を伝えるため、『ギフテッド』の音楽についてあれこれ詳しく書きたいところではあるのですが、詳細はサントラ盤のブックレットをお読み下さい(一生懸命ライナーノーツを書かせて頂きましたので…)。

『gifted / ギフテッド』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ロブ・シモンセン
レーベル:Rambling RECORDS
品番:RBCP-3216
発売日:2017/11/29
定価:2,400円+税

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