高橋ユキヒロ「Saravah Saravah!」を購入初日にひとまず10回ほど聴いてみた。

幸宏さんの新譜「Saravah Saravah!」を買いました。
1978年発売のファースト・ソロアルバム「サラヴァ!」のヴォーカルパートだけを録り直した異色盤…というか話題盤。
ベスト盤で数曲だけヴォーカル新録バージョンを入れるとか、
セルフカヴァーでアレンジも変えて歌い直すとかいうのは割とよくありますが、
「アルバム丸ごとヴォーカルだけ録り直す」というのは珍しいかなと。

例えばブライアン・フェリーが、声が硬いからと言ってファーストアルバムの「愚かなり、我が恋」を全曲歌い直すかというと、さすがにそれはしないんじゃないかと(←ものすごく分かりにくい例え)。

閑話休題。

で、初代「サラヴァ!」といえばワタクシ中学時代~高校時代に聴きまくりまして、
幸宏さんが言うところの「2,3回歌って”いいかな、こんなもんで”っていう」歌い方に完全に耳が馴染んでしまっているので、
新録バージョンに慣れるまで時間を要するのではないかと思ったのです。

ところが数回聴いただけで「今の幸宏さんの声」のヴォーカルが自然にスッと頭の中に入ってきまして、
ああ、これは無理のない素敵なリメイク/リモデル(再構築)だなーと思った次第です。
そして音がとってもクリア。
「あ、バックの演奏はここでこんなことやってたのか!」と今回初めて気づいた箇所も多々ありました。

 

不思議なことに、初代から40年経っているのに声がお若くなっている(…という印象を受ける)のも面白い。
当時の「細野(晴臣)さんっぽい歌い方」もいいんだけど、
現在のヴォーカルは柔らかさと色気が加わっているような印象。
その”色気”というのは、強いて言うなら吐息混じりの声だけで女子をジュンとさせてしまうようなダンディズムとでも申しましょうか。

「Saravah Saravah!」がアルバムの完成形だというならば、
初代「サラヴァ!」は不完全な作品なのかと言ったらそういうわけではない。
初代にはあの時代のあの幸宏さんにしか出せない”味”があるわけで。
その”味”というのが何かと言われたら…、
「ボク、まだまだ若いけど誰にも真似できないすごい音楽やってます」という自信みたいなものなのかな、と。
“セ・シ・ボン”をレゲエ調のアレンジでやってみるとか、
“エラスティック・ダミー”の演奏を一人ずつバラバラに録るとか、
“ムード・インディゴ”、”サンセット”の手弾きテクノとか、
そういう徹底的に作り込まれたサウンドに対する自信。
だからこそヴォーカルの方は「今だったらしつこく録るところを、2,3回歌って”いいかな、こんなもんで”」という感じになってしまったとも考えられますが。
幸宏さんの歌詞にしては珍しく、二人称が「君」ではなく「お前」の曲があるのも80年代以降の幸宏ソングとはちょっとイメージが違うなぁ、という感じで面白かったり。

 

そういう若い尖った感性が味わえるのが初代「サラヴァ!」だと思うし、
ご自身のスタイルをモノにして円熟味が増したのが「Saravah Saravah!」だと思うので、
それぞれに違った魅力があるんじゃないかと思うのです。
40年経ってもサウンドに全く古さを感じさせないのは流石としか言えませんねー。

 

ワタクシが幸宏さんのアルバムを聴くようになったのは母親の影響ですが、
小学生の頃は「サラヴァ!」よりも「音楽殺人」のレコードの方をよく聴いてました。
「サラヴァ!」の”フェイク・ヨーロピアン”な音楽の魅力を理解するには、当時の自分はまだ幼すぎた。
よりテクノポップな音の「音楽殺人」の方が、”何だか聴いてて楽しい音”だと思えたんでしょうね、子どもなりに。
で、中高生ぐらいの頃になってやっと「サラヴァ!」の音楽の奥深さが分かるようになったと。

そんなわけで、青春時代の思い出が蘇る素敵なアルバムなのでした。
少なくとも年内はガッツリ聴きまくることになりそうです。
11月24日のライブも楽しみです。


 

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