今年のクリスマスギフトは『L.A.コンフィデンシャル』と『ミミック』のデラックス・エディション版サントラだった

自分はもうクリスマスプレゼントがどうのこうのという歳ではありませんが、先月某ショップでオーダーしていた『L.A.コンフィデンシャル』(97)と『ミミック』(97)のデラックス・エディション版サントラが、ちょうどクリスマスイブの夕方に届きました。

Varese CD Clubでのリリースの数量限定盤だし、入荷も遅れそうだから年内に手に入れば御の字かなと思っていたのですが、クリスマスイブに手元に届くとは粋なタイミングでの発送になったものです。
自分で買ったものとはいえ、コロナ禍で気が滅入っているこのご時世、ちょっと幸福感を味わえました。

『L.A.コンフィデンシャル』はワタクシの大好きな映画で、映画公開当時リリースになった通常盤のスコアアルバムも長年愛聴しておりました。
ただ収録時間が30分くらいだったので、いくら劇中で既製曲も多く使っていたとはいえ、ジェリー・ゴールドスミスの劇伴はもっと使っていたんじゃないかなと思っておりました。

で、何年か前にスコアアルバムのアナログ盤が限定リリースになったのですが、「違う…自分がほしいのはそれじゃなくて拡張盤のサントラなんだ…。なぜリリースされないんだ…」と人知れず懊悩したものです。そして今回の2,000枚限定での拡張盤リリース。いやこれは嬉しかった。

アルバムの内容としては、ゴールドスミスの完全版のスコアを28曲46分、1997年リリースの通常盤に収録されたスコアを11曲30分収録した、全76分という構成。
スコアを完全収録しても通常盤から16分しか増えていない計算になりますが、それでも「今までずっと聴きたかったあの場面のあの劇伴」が聴けるのは、収録時間や価格では語ることの出来ない喜びがあります。この日をどんなに待ち続けたことか…。

ひとつだけ惜しまれる点があるとするならば、ソングコンピ盤に収録されていたゴールドスミス作曲の「名誉のバッヂ」(劇中ジャック・ヴィンセンスがテクニカル・アドバイザーの仕事で小遣い稼ぎをしていたTVドラマ)のテーマ曲が未収録だったことでしょうか。ソングコンピ盤はVareseからのリリースではなかったから、おそらく権利関係の事情でしょう。ま、些細なことです。

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追悼アンジェロ・バダラメンティ 『ツイン・ピークス』『ロスト・ハイウェイ』ほかテレビシリーズ/映画音楽作品を振り返る

『ツイン・ピークス』(90~91)ほかデヴィッド・リンチ作品の音楽で知られる作曲家、アンジェロ・バダラメンティが亡くなりました。

デヴィッド・リンチ作品の作曲家アンジェロ・バダラメンティ死去 『ツイン・ピークス』『ブルー・ベルベット』等
https://amass.jp/163110/

享年85。かなりのお歳だったので、いずれそういう日が来るだろうと覚悟はしていましたが、やはり偉大な音楽家の訃報を聞くと悲しくなります。
特にこの方は自分の青春時代に魅惑的な音楽をたくさん聴かせてくれたので、何だか自分の中の大切なものがひとつ欠けてしまったような気持ちになってしまうのです。

当たり前すぎて申し訳ないのですが、自分の場合、バダラメンティの音楽に触れるきっかけとなったのは『ツイン・ピークス』でした。
あのアンビエント/ニューエイジともエレベーターミュージックとも表現出来そうな、幻想的な雰囲気のテーマ曲を聴いた途端、一気にバダラメンティの音楽にハマったものです。受験勉強中もCDウォークマンでサントラ盤をよく聴いてました。

だから2007年くらいにリンチのレーベルからシーズン2のサントラが発売された時は嬉しかった。(プレス枚数的にはそれほど多くなかったようですが)。

『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間』(92)は当時レンタルビデオで見た時ワケが分かりませんでしたが、バダラメンティの音楽がますます怪しい感じになっていて「すごい音楽だな」と思ったのを覚えています。

『ローラ・パーマー最期の7日間』のサントラ最大の特徴は、”A Real Indication”と”The Black Dog Runs At Night”でバダラメンティの味わい深すぎるボーカルが聴けるということでしょう(特に前者で)。”歌”というより”語り”といった感じですが。

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追悼アイリーン・キャラ 『フラッシュダンス』に使われたダンサブルでメロディアスな歌曲を振り返る

ヴァンゲリスやプロコル・ハルムのゲイリー・ブルッカーなど、今年も長年愛聴してきたミュージシャンの訃報を聞くことになりましたが、『フラッシュダンス』(83)の主題歌で一世を風靡したアイリーン・キャラもお亡くなりになりました。まだそんなお歳でもないのに…。

「フラッシュダンス」「フェーム」主題歌のアイリーン・キャラさん死去
https://eiga.com/news/20221201/11/

先日twitterにも書きましたが、70年代や80年代に多感な時期を過ごした人(自分も含む)にとっては、本当に2020年代は喪失の時代だなと思います。
本日(2022年12月12日)NHK BSシネマで『フラッシュダンス』の放送がありまして、奇しくもアイリーン・キャラの追悼というタイミングでの放送となってしまいました。

久々に『フラッシュダンス』のサントラを聴いたら、今更ながらに名曲揃いで心を打たれたので、今回のブログで劇中使用曲をざっくり振り返ってみたいと思います。

まずサントラ盤はこちら。

「フラッシュダンス」オリジナル・サウンドトラック(amazon)
「フラッシュダンス」オリジナル・サウンドトラック(TOWER RECORDS)

そしてブルーレイ(4K ULTRA HD仕様)はこちら。

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フラッシュダンス [4K Ultra HD Blu-ray Disc+Blu-ray Disc] – TOWER RECORDS

■音楽担当のジョルジオ・モロダー, フィル・ラモーン, キース・フォーシーについて

プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーは既に『アメリカン・ジゴロ』(80)でモロダーと仕事をしていて、『フラッシュダンス』の脚本を読むや否やモロダーに音楽制作を依頼したとのこと。
モロダーは当初あまり乗り気でなく、スコアの作曲は映画を観てから考えると一旦保留して、ひとまず映画に合うデモ曲をブラッカイマーに送ったそうです。そのデモというのが主題歌”Flahdance…What A Feeling”の原型とも言えるものだった。
その後映画のラフカットを観て『フラッシュダンス』の仕事に興味を持ったモロダーは、自身の楽曲でドラムを多く担当しているキース・フォーシーを作詞家として招聘し、本格的な楽曲制作に取り組んだのでした。

音楽プロデューサーのフィル・ラモーンは、本業の楽曲プロデュースだけでなく、どの曲をどの場面に用いるかを決める作業も行いました。ミュージック・スーパーバイザー的な仕事ですね。
ラモーン曰く「すべての曲に居場所があった」ということで、ただMTV的にポップミュージックを垂れ流すのではなく、歌詞の内容やシンガーの歌唱が、使用場面にフィットしたものを使うことにこだわったそうです。

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主題歌も収録!『ひつじのショーン クリスマスの冒険』のサントラ盤に音楽解説を書きました(作曲家のトム・ハウさんにインタビューもしました)

ランブリング・レコーズ様のご依頼で、日本ではテレビシリーズ3話とセットで劇場公開される『ひつじのショーン クリスマスの冒険』(21)の国内盤サントラに音楽解説を書かせて頂きました。

『ひつじのショーン ~クリスマスの冒険~』オリジナル・サウンドトラック(amazon)
『ひつじのショーン ~クリスマスの冒険~』オリジナル・サウンドトラック(TOWER RECORDS)

ワタクシは以前『映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム』(15)のサントラ盤に音楽解説を書かせて頂いたので、久々にこのシリーズのお仕事が出来て嬉しかったです。ちなみに前作『ひつじのショーン UFOフィーバー!』(19)は輸入盤こそリリースされたものの、国内盤サントラが発売されませんでした。ワタクシは輸入盤をちゃんと買っていましたが。

Farmageddon: A Shaun the Sheep Movie (TOWER RECORDS)

で、今回の『クリスマスの冒険』のスコア作曲を担当したのは、『UFOフィーバー!』に続いての登板となるトム・ハウ。ハリー・グレッグソン=ウィリアムズと共同で『アーリーマン ダグと仲間のキックオフ!』(18)の音楽を担当しています。

もっとメジャーどころで言えば、『ターザン:REBORN』(16)と『ワンダーウーマン』(17)で追加音楽の作曲を担当した方です。ルパートとハリーのグレッグソン=ウィリアムズ兄弟と縁がある人ということになりますね。

そんなわけで以前から個人的に興味のある映画音楽家さんだったし、『UFOフィーバー!』の音楽も聴きごたえがあったので、ハウさんにいろいろお話を聞いてみたくなって、サントラ盤の差込解説書用にインタビューを行った次第です。

ちょうどインタビューを申し込んだ時期にNHKで『ブリティッシュ・ベイクオフ』を放送していて(今はまた『ソーイング・ビー』の放送になったけど)、あの番組の音楽をハウさんが担当していたと聞いて「絶妙なタイミングでインタビューすることになったなぁ」と思ったものです。

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最近買ったサントラ盤(『インビジブル』2枚組エクスパンデッド盤)

Intradaから発売になった『インビジブル』(00)の2枚組エクスパンデッド盤サントラを買いました。スコア作曲はもはや説明不要のジェリー・ゴールドスミス。
Vareseから映画公開当時発売になったサントラ盤は51分くらいでしたが、今回はスコアを全31曲、91分26秒完全収録した上で、別バージョンのスコアを14曲、47分24秒収録。
トータル約140分の大ボリュームでのリリースとなりました。

ゴールドスミスのSFスリラー音楽を思う存分聴ける幸せよ…。

Hollow Man – Expanded Original Motion Picture Soundtrack (TOWER RECORDS)

『インビジブル』はポール・バーホーベンがハリウッド映画界に見切りをつけるきっかけとなった作品でもあり、後年本人も「スタジオの奴隷になった気がした映画」といった旨の発言をしておりました。
その割にはエリザベス・シューと一緒に来日した時は終始ご機嫌だったのを記憶しておりますが、あれは営業用のスマイルというのも考えられますが、たぶん美女(シュー)と一緒で嬉しかったせいなのかもしれません。

でも、ハリウッド時代に『トータル・リコール』(90)、『氷の微笑』(92)、『インビジブル』の3作品で伝説のゴールドスミスに音楽を作曲してもらえたのだから、そういう意味ではクリエイティブ面で不満も多かったハリウッドでも、音楽に関しては幸せな体験が出来た人なのではないかなと思います。

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