ご本人は2006年のレコード・コレクターズのインタビューで「自分の中ではあっさりし過ぎている印象があって」と仰っていましたが、個人的にはCMタイアップ曲が3曲あったせいか歌謡曲テイスト強めだった「Mr. YT」より、”ドラムンベース邂逅編”とでも言うべき「Portrait with No Name」のほうが好きでした。
で、夫が食べたがっているラーメンを作ってあげるという行為が「ラーメンを作るために結婚したんじゃない」という問題にすり替わるのはなぜだろう? という話になって、「それはつまり、二人の間に”何もなければいい”ということなんだろうか。期待も、形も、名前も…」という結論になって、「Portrait with No Name」というアルバムタイトルが生まれることになったのだそうです。 「Nameless」みたいなタイトルはストレート過ぎてカッコ悪いので、アメリカの”A Horse with No Name”からアイデアを頂いたと仰っていました。
たぶん、幸宏さんもレコード会社との打ち合わせで「幸宏さんもアコースティック路線でひとつどうですか?」的な話が出たのではないかと思います。 実際、前年のライブ「A NIGHT IN THE NEXT LIFE」はアコースティック感強めのアレンジ/セットリストだったし、1993年にはアコースティック・アレンジによるセルフカヴァー盤「HEART OF HURT」もリリースしていますから。
だから今回の「LIFETIME, HAPPY TIME」も「EGO」や「BROADCAST FROM HEAVEN」の音数多めのサウンドからガラッと変わった感じ。 「A DAY IN THE NEXT LIFE」の時点で既にアコースティック色が出てきていましたが、あのアルバムよりも神経質そうな音が少なくなったという印象を受けました。