『テルマ&ルイーズ』4Kレストア版ブルーレイを買ったら、入ってないと思っていた映像特典が収録されていたというお話。

先日実家に帰ったとき、MY母が「『テルマ&ルイーズ』(91)のDVDとか持ってない?」と言っておりまして、ああ、そういえばBS/CSで放送があったときのものを録画してあるだけで、好きな映画なのにいわゆる「円盤」では持っていなかったなと気づきました。

それじゃ中古DVD/ブルーレイでも構わないから20周年記念版でも買いますか…と考えていたところ、昨年10月に4Kレストア版のブルーレイがKADOKAWAから発売になっていたことを知りました。

こいつはいいやとカートに入れようとしたところ、商品レビュー欄に「特典映像が減って音声解説も削られているのに値段が高い」という気になる投稿が。本当に? と思って商品説明の項目を見てみると、

【映像特典】①ドキュメンタリー:“ラスト・ジャーニー” ②未公開シーン ③もうひとつのエンディング

…と書いてある。確かに旧盤にあった「リドリー・スコットの音声解説」「スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、脚本家の音声解説」「ストーリーボード」「”Part of Me, Part of You”のミュージックビデオ」「オリジナル予告編」の記述がない。

「え~、こんなに映像特典が削られているの? でも4Kレストア版の画質は捨てがたいし、好きな映画だから中古ではなく新品を手元に置いておきたいよなぁ…」としばし葛藤。
逡巡の末、この映画はBANGER!!!で音楽紹介コラムを書いた(下記リンク参照)とき、リサーチで製作秘話などのネタを十分仕入れたからもういいかと音声解説の特典を諦めて、画質優先・中古品よりも新品で円盤を手元に置いておきたいということでKADOKAWA版ブルーレイを買いました。

実はブラッド・ピットの出世作『テルマ&ルイーズ』が4Kリバイバル上映! アカデミー賞受賞の傑作ロードムービーを彩るハンス・ジマーの音楽 | BANGER!!!
https://www.banger.jp/movie/110781/

そして製品が手元に届いたとき、嬉しい驚きあったのです。

テルマ&ルイーズ 4Kレストア版 [Blu-ray] – amazon
テルマ&ルイーズ 4Kレストア版 Blu-ray Disc – TOWER RECORDS

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最近買ったサントラ盤/『レインマン』リマスター拡張盤と『ビバリーヒルズ・コップ3』スコア盤

La-La Land Recordsから発売になった『レインマン』(88)のリマスター拡張盤サントラと、『ビバリーヒルズ・コップ3』(94)のスコア盤サントラを買いました。

『レインマン』リマスター拡張版サウンドトラック(Rambling Records取扱い・輸入盤国内品番仕様) – amazon
オリジナル・サウンドトラック レインマン リマスター拡張版<限定盤> – TOWER RECORDS
Rain Man: Remastered & Expanded Limited Edition<限定盤 La-La Land Records> – TOWER RECORDS

『レインマン』のスコア盤サントラは以前notefornoteから発売になったものを持っているので、「さほど中身が変わらないなら購入を見送ってもいいのではないか…?」と一瞬思ったものの、

「ハンス・ジマー監修のもと、Stéphane Humezがプロデュース、Maxime Marionがマスタリングと編集を担当」

…などと製品情報が書かれていると「やっぱり音がよくなってるのかな」と食指が動き、結局買ってしまったのでした。
notefornote盤はジマーさんがノータッチのまま発売されたアルバムのようなので、「みなさまのお墨付き」ならぬ「ジマーさまのお墨付き」であるLa-La Land盤はそういう意味で安心感があるような気がします。

収録内容はスコアが14曲で、ボーナストラックが4曲と1988年盤のサントラに収録されていた劇伴が2曲。スコア14曲というのはnotefornote盤と同じですが、ひと繋がりになっている一部のスコアのカット位置が違っていたりします。

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『あの歌を憶えている』劇場用パンフレットに書いたプロコル・ハルム「青い影」コラムの補足 その3: 法廷闘争について思うこと

セテラ・インターナショナル様からのご依頼で、映画『あの歌を憶えている』(23)の劇場用パンフレットにプロコル・ハルムの「青い影」に関するエッセイを書かせて頂きました。

字数の都合や話の本筋から離れてしまうという理由から、パンフのエッセイでは書けなかったネタをブログで補完させて頂きますということで、これまで難解極まりない歌詞と「青い影」が出来上がるまでの経緯について書きました。

今回は著作権を巡る法廷闘争について書かせて頂こうかなと思います。

プロコル・ハルム(青い影)+10 – amazon
プロコル・ハルム(青い影) PLUS – TOWER RECORDS

パンフレットにエッセイを書くにあたって、一連の「青い影」法廷闘争の流れをまとめてあるサイトなどを読み漁っていったのですが、毎日のように記事を熟読していくうちに、果たして自分は『あの歌を憶えている』のエッセイを書いているのか、「青い影」訴訟のレポートを書いているのかどっちなんだ?…とよく分からなくなってきました。
なのでパンフレットでは要点だけ簡潔にまとめた感じです。あと、当方の好きなマシュー・フィッシャーの苦悩を知って頂きたいな…という思いも少なからずあったかもしれません。

そんなわけで、詳しい話はブログで書かせて頂きます。
今回もテキストが長いです。

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『あの歌を憶えている』劇場用パンフレットに書いたプロコル・ハルム「青い影」コラムの補足 その2: 「青い影」ができるまで

セテラ・インターナショナル様からのご依頼で、映画『あの歌を憶えている』(23)の劇場用パンフレットにプロコル・ハルムの「青い影」に関するエッセイを書かせて頂きました。

字数の都合や話の本筋から離れてしまうという理由から、パンフのエッセイでは書けなかったネタをブログで補完させて頂きますということで、前回は解釈が難しい歌詞について書きました。

今回は名曲「青い影(A Whiter Shade of Pale)」ができるまでの過程について少し補足させて頂こうかなと思います。

作詞家(詩人)のキース・リードが、バンドマネージャーのガイ・スティーヴンス宅のホームパーティーで気分を悪くした夫人にガイが「顔色が悪いぞ(You’ve gone a whiter shade of pale)」と言った言葉にインスパイアされて書いた歌詞だった、というのは有名すぎる話なのでパンフのエッセイでは割愛しました。

自分はコロナ禍の不要不急の外出を控えていた時期にプロコル・ハルムのアルバムを集中的に聴いていて、初期3作のアルバムのことや、「青い影」を含む彼らの曲ができた過程を知りたくなったので、ゲイリー・ブルッカーやマシュー・フィッシャー、リードのインタビューを読み漁っていました。

パンフに寄稿したエッセイは、そのときに得た情報をもとに書いたとも言える気がします。しかし、それを全部書くと話しが長くなる上に『あの歌を憶えている』の話から逸脱してしまうので、要点をまとめて書いた感じです。

パンフに書ききれなかった細かいトピックはこれから書いていきたいと思いますが、ハッキリ言って長いです。お暇なときに目をお通し下さい。

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『あの歌を憶えている』劇場用パンフレットに書いたプロコル・ハルム「青い影」コラムの補足 その1: 難解な歌詞について

セテラ・インターナショナル様からのご依頼で、映画『あの歌を憶えている』(23)の劇場用パンフレットにプロコル・ハルムの「青い影」に関するエッセイを書かせて頂きました。

ミシェル・フランコの映画と言えば劇伴/主題歌の類を一切使わず、挿入歌は生活環境音扱いで、エンドクレジットも無音というのが定番なので、当初は「音楽について何か書くことあるんだろうか?」と思いました。
しかし「青い影」が劇中で重要な役割を担っているということで、プロコル好きの当方としては「それでしたらぜひ」とお引き受けした次第です。

そして試写を拝見したところ、「ミシェル・フランコの映画を見終わってこんなにホッとした気分になったのは初めてだな」と思いました。
『父の秘密』(12)にしろ『或る終焉』(15)にしろ『母という名の女』(17)にしろ『ニューオーダー』(20)にしろ、心の底から打ちのめされる静かで憂鬱な展開を見せておいて、無音のエンドクレジットで更に沈んだ気持ちにさせられるのがフランコ映画のトレードマークと言えるわけですが、今回はヘヴィなテーマを描きつつも、最後に「これ本当にフランコの映画なの?」というささやかな救いのある作品でした。

個人的に一番驚いたのは「ミシェル・フランコ映画でエンドクレジットに曲がある」ということでした。このことは予備知識なしで映画を観たときに「おやっ?」と新鮮な驚きを体験して頂きたかったので、パンフにはあえて書きませんでした。

このように字数の都合や話の本筋から離れてしまうという理由から、パンフのエッセイでは書けなかったネタもいくつかありますので、そのあたりは当方のブログで何回かに分けて書いていこうかなと思います。

まずは今も議論が交わされている「青い影」の難解な歌詞について少し書かせて頂こうかなと。

プロコル・ハルム(青い影)+10 – amazon
プロコル・ハルム(青い影) PLUS – TOWER RECORDS

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