ドキュメンタリー『ハンス・ジマー 映画音楽の革命児』を観たので、『フローズン・プラネットII』『ザ・リング』『テルマ&ルイーズ』のサントラ盤を衝動買いしたお話。

先月NHK BS1で放送していたドキュメンタリー『ハンス・ジマー 映画音楽の革命児』を観ました。
ジマーさんが音楽を担当した『フローズン・プラネットII』(22)と連動してBBCが製作した番組だったと思うのですが、なかなか興味深い内容でした。

かれこれ15年近くよくして頂いているボブさんが番組内でインタビューを受けていたので、「ジマーさんのドキュメンタリー観ましたよ」とメッセージを送ったら、「あれはいいドキュメンタリーだっただろ?」と仰ってました。

そんなわけで、これまで購入を先送りしていたジマーさんのサントラを衝動的にまとめ買いしてしまいました。

1枚目:『フローズン・プラネットII』サントラ盤

先述のドキュメンタリー番組の中で、ジマーさんが「凍りついたような音を探しています」「ベーコンを焼く時の音と変わらないですね」などと言いながら曲にノイズ(グリッチノイズ?)を足していく行程を観て、ついサントラ盤を買ってしまいました。

ジマーさんのBBCネイチャードキュメンタリーのサントラは、以前『ブルー・プラネットⅡ』(17)の差込解説書に音楽解説を書かせて頂いた時、『プラネット・アースII』(16)や『SEVEN WORLDS ONE PLANET』(19)をまとめて鑑賞して以来興味を持つようになったので、まあ『フローズン・プラネットII』もいずれは買うことになったのだと思います。

ドキュメンタリー番組内でも、子ども時代のジマーさんが汚れたライン川をお父様に見せられて考えさせられたといった旨のことを話していたので、高い目的意識を持ってネイチャードキュメンタリーの音楽を作曲しているのではないかなと思います。
特に『ブルー・プラネットⅡ』と『フローズン・プラネットII』は”Original Music”のところにジマーさんの名前がちゃんとあるので、「テーマ曲だけ作曲して、そのバリエーションはブリーディング・フィンガーズ・ミュージックの若手に一任」という作り方はしていないのではないかと思います(その場合”Theme Music by Hans Zimmer, Score by ○○”とクレジットされるはず)。

今回の『フローズン・プラネットII』も、普通の映画音楽と変わらないスケール感のスコアを聴かせてくれます。メロディも際立っていてよい感じ。

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最近買ったサントラ盤(『カンバセーション…盗聴…』リマスター盤, 『ゴッドファーザー』公開50周年記念リマスター盤)

先日ツイートしたとおり、Silva Screen Recordsからリリースになった『カンバセーション…盗聴…』(74)のリマスター盤サントラを買いました。
Intradaからサントラが発売になったのが2002年だから、もう20年以上経ったんですねぇ。確か自分が初めて買ったIntradaのサントラだったと思います。

今回のリマスター盤はデジパック仕様。
盤面が録音テープのリールのデザインになっているのがよい感じです。
リマスター盤というだけあって、音質もなかなかよくなっているという印象。
Intrada盤よりピアノの音が気持ちクリアになっているような気がします。

それにしてもデヴィッド・シャイアの物憂げなピアノ劇伴はいつ聴いても素晴らしい。スリラー映画でこういう劇伴を聴かせる作品は近年めっきり少なくなっていて、「ピアノだけのスコア」となると『ザ・ファーム/法律事務所』(93)ぐらいなんじゃないかと思います。

もっとも、低予算のテレビ映画の作曲を続けていたシャイアは、「コッポラが監督するメジャースタジオの映画だから、潤沢な予算でオーケストラ音楽が書けるぞ」とワクワクしていたのに、コッポラから「この映画ではオーケストラよりピアノソロがふさわしいと思う」と言われて当初かなりガッカリしたそうですが。

そしてドキュメンタリー映画『ようこそ映画音響の世界へ』(19)を観たあとだと、音響編集者のウォルター・マーチがテープ操作した曲や、シンセ奏者のクラーク・スパングラーがピアノの音をひずませた曲のようなサウンドデザイン系の劇伴がとても面白く聞こえてくる。音がよくなったアルバムで聴く音響系スコアも実に味わい深い。

ではリマスター盤を買ったらもうIntrada盤には用がないかというと、決してそうではありません。
デヴィッド・シャイアとウォルター・マーチ、フランシス・フォード・コッポラのセルフライナーノーツが読めるのはIntrada盤だけだからです(今回のリマスター盤のライナーは別なライターが書いてます)。自分にとってはどちらも大切なサントラです。

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The Conversation OST (2023 Remaster) TOWER RECORDS

で、コッポラ繋がりと言うことで、昨年の大晦日に届いた『ゴッドファーザー』(72)の公開50周年記念リマスター盤もご紹介します。

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『マッシブ・タレント』の音楽をマーク・アイシャムが担当するのは必然だったのかもしれないという話。

ランブリング・レコーズ様のご依頼で、『マッシブ・タレント』(22)の国内盤サントラに音楽解説を書かせて頂きました。
音楽担当は『ヒッチャー』(86)や『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』(20)のマーク・アイシャム。

『マッシブ・タレント』オリジナル・サウンドトラック(amazon)
『マッシブ・タレント』オリジナル・サウンドトラック(TOWER RECORDS)

twitterでも何度か書かせて頂いておりますが、こちらのサントラ盤はアイシャムの劇伴を収録したスコアアルバムで、挿入歌は未収録です。サントラを買ってから「歌が入ってなかった」「思ってたのと違う」とレビューで書かれてしまうと大変悲しい気持ちになりますので、ご購入の際はこのあたりをお間違いのないように。

ワタクシ、ニコラス・ケイジ出演作のサントラ盤のお仕事は『ナショナル・トレジャー』(04)以来だったので、このお仕事の機会を頂けて大変嬉しかったです。実に19年ぶりのニコケイ作品。
彼はここ10年くらいサントラもリリースされないようなB級映画に出まくっていたので、ましてや国内盤リリースの機会なども全くない状態が続いていたんですよね…。

『マッシブ・タレント』も海外ではデジタルダウンロード版のみのリリースなのですが、日本では「久々のニコケイのヒット作だし」ということで、CDプレス盤での発売になったのかもしれません。有難いことです。

アイシャムの略歴や『マッシブ・タレント』の音楽については、サントラ盤の差込解説書に詳しく書かせて頂きましたが、字数の都合で書けなかったことや、あえて書かなかったネタなどもございますので、当方のブログで補完させて頂きたいと思います。

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BANGER!!!のコラムで書き切れなかった『コン・エアー』のネタあれこれ

先日BANGER!!!のコラムで『コン・エアー』(97)の見どころ&音楽紹介コラムを書きました。

ハリウッド版「魁!!!男塾」? ニコラス・ケイジ主演『コン・エアー』の意外な功績とバンド“イエス”ギタリスト作曲のロックな劇伴 | https://www.banger.jp/movie/93921/

…ちなみにこのコラムタイトルはワタクシが考えたものではありません。
(編集部に「男塾」読者の方がいらっしゃったんでしょうか)
当方の記事がアップされた時に「そう来ましたか…」と思ったほどで。

本当は『マッシブ・タレント』(22)のコラムを書きたかったのですが、諸事情により叶わなかったため、それなら『マッシブ・タレント』の映画本編でもフィーチャーされている『コン・エアー』について書こうかなと思ったのです。何しろ映画が始まって早々に『コン・エアー』のエンディングが流れますから

…とまぁそんなわけでいろいろBANGER!!!でいろいろ書かせて頂きましたが、字数の都合でコラムに書けなかったネタ、マニアックすぎて需要がなさそうなネタなどもいくつかございますので、当方のブログにて補完させて頂きたいと思います。

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『リービング・ラスベガス』のサントラに曲を追加して曲順を変えてみた

『マッシブ・タレント』(22)日本版公式ツイッターアカウントさんが実施していた「MyBestニコケイ」の投稿で『リービング・ラスベガス』(95)についてツイートした時、久々に映画本編を鑑賞しました。


詳細なネタを含むツイートをするにあたって、うろおぼえの情報ではなく、きちんと精査した内容を投稿しようと思い、きちんと映画本編を観て、サントラ盤のブックレットもしっかり読み直したというわけです。

当然サントラ盤もざっくり聴いてからツイートしたのですが、久々にアルバムを聴いて「やっぱりいいサントラだな」と再認識しました。そして長年ほったらかしにしていたアルバム未収録曲の追加作業を行うことにした次第です。

そのアルバム未収録曲というのが、マイケル・マクドナルドによるジャッキー・ウィルソンのカヴァー”Lonely Treadrops”
マイク・フィギス監督の友人でもあるスティングがタダ同然で提供したジャズ・スタンダードのカヴァー3曲と、ドン・ヘンリーがカヴァーした”Come Rain or Come Shine”、ザ・パラディノスの”I Won’t Be Going South For A While”、ニコケイが即興的に歌った”Ridiculous”は収録しているものの、この曲だけアルバムに入っていませんでした。

ワタクシこの映画のサントラは1990年代当時もよく聴いていたのですが、その頃はインターネットもやっていなかったので、”Lonely Teardrops”が何のアルバムに収録されているか分からず、CDで聴くのは諦めておりました。そして現在に至るまでサントラに曲を補完する作業を怠っていたのでありました。

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