最近買ったサントラ盤(『インビジブル』2枚組エクスパンデッド盤)

Intradaから発売になった『インビジブル』(00)の2枚組エクスパンデッド盤サントラを買いました。スコア作曲はもはや説明不要のジェリー・ゴールドスミス。
Vareseから映画公開当時発売になったサントラ盤は51分くらいでしたが、今回はスコアを全31曲、91分26秒完全収録した上で、別バージョンのスコアを14曲、47分24秒収録。
トータル約140分の大ボリュームでのリリースとなりました。

ゴールドスミスのSFスリラー音楽を思う存分聴ける幸せよ…。

Hollow Man – Expanded Original Motion Picture Soundtrack (TOWER RECORDS)

『インビジブル』はポール・バーホーベンがハリウッド映画界に見切りをつけるきっかけとなった作品でもあり、後年本人も「スタジオの奴隷になった気がした映画」といった旨の発言をしておりました。
その割にはエリザベス・シューと一緒に来日した時は終始ご機嫌だったのを記憶しておりますが、あれは営業用のスマイルというのも考えられますが、たぶん美女(シュー)と一緒で嬉しかったせいなのかもしれません。

でも、ハリウッド時代に『トータル・リコール』(90)、『氷の微笑』(92)、『インビジブル』の3作品で伝説のゴールドスミスに音楽を作曲してもらえたのだから、そういう意味ではクリエイティブ面で不満も多かったハリウッドでも、音楽に関しては幸せな体験が出来た人なのではないかなと思います。

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『ザリガニの鳴くところ』のBANGER!!!コラムでマイケル・ダナさんにインタビューしました。

11月のBANGER!!!のコラムで、『マネーボール』(11)以来久々にマイケル・ダナさんにインタビューしました。

本屋大賞1位のミステリーを映画化!
『ザリガニの鳴くところ』“湿地帯の音楽”って?
劇伴作曲家マイケル・ダナに独占インタビュー
https://www.banger.jp/movie/87084/

こちらの作品、国内盤サントラが発売される運びになったようなのですが、音楽解説の仕事が当方に回ってこなくて、ここだけの話ものすごく落ち込んでおりました。

そんな折、マイケルさんから「最近どうしてる?」と連絡が来まして、9月に帯状疱疹を患ったり、コロナ禍が全く収束する気がしなかったり、北朝鮮から狂ったようにミサイルがバンバン発射されたり、ロシアのウクライナ侵攻も酷い状況だったりして、つい「正直言ってあんまり調子よくないです。仕事は普段通りなんですが」と本音を漏らしてしまいました…。

すると「そうだな、どこの国も政治がひどいし、2020年代は今のところ最悪の時代だよね。日本も頻繁にミサイルが飛んできて大変だろうけど、気をしっかり持つんだよ」と励ましてくれまして、何だか泣きそうになりました。
それで「今だったらちょっと時間があるけど、なにかインタビューしたいとかある?」とダナさんから聞いてきてくれたので、お言葉に甘えてBANGER!!!のコラム用に『ザリガニの鳴くところ』の音楽について語って頂いたというわけです。

だから今回のマイケルさんへのインタビューは、これまで以上に思い入れがある内容となりました。

Where the Crawdads Sing – Original Motion Picture Soundtrack (amazon)
Where the Crawdads Sing – Original Motion Picture Soundtrack (TOWER RECORDS)

『ザリガニの鳴くところ』(22)の音楽については本記事で全て語り尽くしてしまった感があるので、当方のブログでは補足というか自分の感想を書かせて頂きたいと思います。

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『トップガン マーヴェリック』のサントラ盤を聴きながら5ヶ月近く過ごしたので、音楽をじっくり分析してみた。

11月2日に『トップガン マーヴェリック』(22)のブルーレイ&DVDが発売になります。

■amazon
トップガン マーヴェリック ブルーレイ+DVD [Blu-ray]
トップガン マーヴェリック 4K Ultra HD+ブルーレイ[4K ULTRA HD + Blu-ray]

このブログで何度も書いていますが、自分は若い頃に映画館でインフルエンザをうつされて1ヶ月近く死ぬほど苦しんだ経験をして以来、インフルや新型コロナのような強力な感染症が蔓延している時は映画館に行くのを避けるようになりました。
したがって『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』(21)も『DUNE デューン/砂の惑星』(21)も映画館で観たかったけど、どうしても及び腰になってしまい、ブルーレイとかデジタル配信、衛星放送で観られるようになるまでじっと我慢したのでした。

『トップガン マーヴェリック』も映画館の大画面で観たかったんですけどね…。一人暮らしで自由に過ごしていた若い頃と違って、家族のこととかも考えなくてはならなくなったので、結局デジタル配信で鑑賞しました。
映画評とか関連記事とか情報を一切遮断して何ヶ月も過ごすのは実に厳しかったですが、インフルで悶絶したときのように、新型コロナに罹患して家族に迷惑かけたら一生後悔しますから、まあ仕方がありません。

そんなわけで5ヶ月近くサントラを聴いてから映画本編を鑑賞したので、「なるほど今回の『トップガン』の音楽はこういう風にバージョンアップしたのか」と楽しむことが出来ました。せっかくなので当方の分析をブログに書いてみたいと思います。ちなみに自分はボーナストラックで劇伴を1曲多く収録している国内盤を買いました。

トップガン マーヴェリック:オリジナル・サウンドトラック (通常盤:特典なし) – amazon
トップガン マーヴェリック オリジナル・サウンドトラック<通常盤> – TOWER RECORDS

まず今回の音楽担当のクレジットですが、

Music by Harold Faltermeyer, Lady Gaga, Hans Zimmer
Score Produced by Lorne Balfe

…と、なかなかすごいことになっております。
本作のスコアはフォルターメイヤーが第1作で作曲した”Top Gun Anthem”のフレーズと、ガガの主題歌”Hold My Hand”のフレーズをメインテーマ的に使用しているので、ジマーさん以外の二人も「スコアの作曲者」というクレジットに値する働きをしたということなのでしょう。その結果、スコア(劇伴)と主題歌に統一感が生まれたとも言えるのではないかなと。

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マヤ・ホークの2ndアルバム「MOSS」を買いました。

マヤさんのセカンドアルバム「MOSS」が発売になったので速やかに購入。
先頃リリースになったシングル”Blue Hippo”は未収録で、コンセプト的には今回のアルバムとは別ということらしい。

Maya Hawke – MOSS (amazon)
Maya Hawke – MOSS (TOWER RECORDS)

■以前のブログ
ブライアン・フェリーの「Love Letters EP」とマヤ・ホークの「Blue Hippo」をデジタルダウンロードで購入。
https://www.marigold-mu.net/blog/archives/11616

ファーストアルバム「BLUSH」は、お父さんのイーサン・ホークの盟友ジェシー・ハリスの全面プロデュースで製作されましたが、今回はマヤさんとベンジャミン・ラザー・デイヴィスの共同プロデュース。
ミックスやエンジニアリング、共同作曲などでウィル・グレーフェ、クリスチャン・リー・ハトソンが名を連ねています。
今回はジェシーさんの手を離れて、来日時も帯同したバンドメンバーと曲を作り上げていった感じなのかな。

来日時にマヤさんとジェシーさんにインタビューした時は、「マヤさんが詞を書いて、それをもとにジェシーさんがメロディをつける」という曲の作り方をしていて、「役割がハッキリしているから、その分ケンカしなくていいの(笑)」とマヤさんが言ってましたが、
セカンドアルバムではソングライティングに積極的に取り組んでいるようなので、シンガーソングライターとして成長したということなのでしょう。

■BANGER!!!で書いた独自インタビュー記事
『ストレンジャー・シングス』ロビン役マヤ・ホークが音楽活動もしてるって知ってた? ジェシー・ハリスとのコラボレーションについて語る
https://www.banger.jp/movie/23477/

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NHK BSシネマで『プラトーン』の放送があるので拡張版サントラを自作した話

PLATOON – Expanded Original Motion Picture Soundtrack (TOWER RECORDS)

『プラトーン』(86)は自分が中学生の頃にテレビで観て衝撃を受けた…というか、物語に引き込まれて、時間を忘れて見入ってしまった映画でした。
当時はまだ何も知らない子どもだったので、サミュエル・バーバーの「弦楽のためのアダージョ」も、この映画ために作ったメインテーマ曲だと思って聴いておりました。もちろんその後情報を収集して、スコア作曲を作曲したのはジョルジュ・ドルリューで、バーバーの「弦楽のためのアダージョ」も彼の編曲によるものだときちんと覚えましたが。

そして時は流れ、サントラ盤もいろいろなバージョンが発売になったので、これまでバラバラに聴いていたアルバムをひとつにまとめて、自分なりの拡張版サントラを自作しようと思い立ちました。

まずは劇場公開時に発売になったサントラ盤。これはバーバーの「アダージョ」を2バージョンと、ジョルジュ・ドルリューのスコア”Barnes Shoots Elias”、そして往年の歌モノを収録したコンピ盤…なのですが、「PLATOON Original Motion Picture Soundtrack and Songs From The Era」という記述があるとおり、映画本編で使われない当時のヒット曲を収録したインスパイア盤的側面もあるサントラだったのでした。
そして”Adagio For Strings”にはチャーリー・シーンのラストのナレーションが入っている。
自分のように「音楽(劇伴)をじっくり聴きたいリスナー」にはいささか中途半端なサントラ盤でした。

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