『デッドプール2』のサントラはなぜスコア盤にも「ペアレンタル・アドバイザリー」マークが印刷されているのか


『デッドプール2』(18)は前作に引き続き日本盤サントラがリリースされると聞き、
「デップー続編の音楽ってタイラー・ベイツさんでしょ?あーあ、ライナーノーツを書きたかったなぁ…」と思ったのですが、
よく調べてみたら日本盤がリリースになるのはソング・コンピレーション盤のほうで、スコア盤は輸入盤のみらしい、ということが分かりました。
(前作は1枚のアルバムにスコアと歌モノの両方が収録されてたのですが)

このジャケットがソング・コンピレーション盤。

ライナーノーツが書けなかったというよりも、
そもそもスコア盤が日本盤として出なかったわけで、
何だかホッとしたような、
でもスコア盤の不遇な扱いが悲しいような、
複雑な心境になってしまいました。

もっとも、ワタクシはベイツさんの『リミット・オブ・アサシン』(17)のサントラ盤ライナーノーツを書かせて頂いたので、まぁいいかという感じではありますが。

さて『デップー2』のサントラ盤に話を戻しますと、
スコア盤のジャケ写を見たら、
インスト曲だけのはずなのに「PARENTAL ADVISORY: EXPLICIT CONTENT」の警告マークが印刷されてまして、
「スコア盤にも何かヤバい歌詞のヒップホップとかロックの歌モノが入ってるのかな?」と思ったのですが、そうじゃなかった。

 

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巨大化も作曲家のこだわりも止まらない!『ランペイジ 巨獣大乱闘』の凝った劇伴を体感して下さい!という話。

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、『ランペイジ 巨獣大乱闘』(18)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。

『ランペイジ 巨獣大乱闘』オリジナル・サウンドトラック (amazon)

音楽担当はアンドリューロッキントン。Lockingtonの読みは”ロッキントン”だと思うのですが、映画のチラシなどでは”ロッキングトン”という表記だったので、ライナーノーツではそれに倣ってます。

本作のブラッド・ペイトン監督の常連作曲家で、『センター・オブ・ジ・アース2』(12)や『カリフォルニア・ダウン』(15)、『ドクター・エクソシスト』(16)の音楽もこの人です。結果的に「ドウェイン・ジョンソン出演作品の音楽を多数手掛ける作曲家」ということになってます。

ロッキントンの名前こそ知る人ぞ知るという感じですが、業界内での評価(およびコアなサントラマニアからの注目度)は結構高い人でして、『センター・オブ・ジ・アース』(08)の音楽は結構評判がよかった記憶があります。

今回の『ランペイジ』では大規模編成のフルオケ+ウガンダの児童合唱団のコーラスを使って、前述のタイトルに負けず劣らずのハデな音楽を鳴らしまくってくれています。

しかしただハデに鳴らしているだけではないのが『ランペイジ』の面白いところでして、ロッキントンは「こんな映画(←”豪快な娯楽大作”という意味です)でここまで凝った音楽にするのか」というぐらい、いろんなアイデアを詰め込んだスコアを作曲しているのです。

詳しいことはサントラ盤のライナーノーツに書かせて頂きましたし、アンドリュー・ロッキントンのセルフ・ライナーノーツも要約して拙稿の中でご紹介させて頂いたので、ここではざっくりと音楽をご紹介した上で、字数の都合でライナーノーツに書けなかったことを書かせて頂こうかなと思います。

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『ボストン ストロング』の作曲家マイケル・ブルックは「Inner Strength」という概念を音楽で描く

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、『ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~』(17)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。

前回の投稿では「マイケル・ブルックにインタビュー出来ましたよ~」という話を書いたので、今回はどんな感じの音楽なのかをご紹介したいと思います。

マイケル・ブルックはキャリア初期にダニエル・ラノワやブライアン・イーノと交流を深めたミュージシャン。
したがって彼が作り出す音楽もアンビエント/ニューエイジ系ということになるわけですが、今回は「アンビエント/ニューエイジ系」と「オーソドックスな映画音楽」の中間的なサウンドといった感じ。

ブルックの過去の作品を挙げて音楽の雰囲気をご説明するならば、『不都合な真実』(06)ほどアンビエント寄りではないけれども、『ブルックリン』(15)ほど古典的なスタイルの映画音楽でもない。方向性としては『ウォールフラワー』(12)のスコアに最も近いサウンドではないかと思います。

 

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『ボストン ストロング』サントラ盤ライナーノーツでマイケル・ブルックにインタビューしました。

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、
『ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~』(17)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。

こちらのサントラはアメリカ本国ではダウンロード形式のみのリリースでございまして、
CDアルバムでのリリースは日本だけということになります。
去年の『gifted / ギフテッド』(17)と同じですね。

で、普通のレコード会社だったら、
「本国でCDリリースされてないなら、わざわざ日本でCDアルバムで出すことないよねー」という感じで発売を見送られるケースも多いのですが、
今回もランブリング・レコーズさんはあえてCDアルバム形態でリリースして下さったわけです。

さすがランブリング・レコーズ!
ほかのレコード会社にできない事を平然とやってのけるッ
そこにシビれる!あこがれるゥ!(2回目)

…というわけでワタクシもライナーノーツ執筆の機会を頂いた以上、
その心意気に答えなければならんだろうと思い、
作曲家のマイケル・ブルックにインタビューを敢行したのでありました。
というかワタクシはブルックさんの音楽が以前から大好きだったので、いつかご本人に取材してみたいと思っていたんですよね…。

 

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『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』のエンディングテーマ”A Million On My Soul”と”I Feel Everything”の歌詞

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、
『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』(17)サントラ盤のライナーノーツを書かせて頂きました。

サントラ盤はCD2枚組仕様で、
ディスク1にアレクサンドル・デスプラのオリジナル・スコアを23曲、
ディスク2に映画本編で使用された歌モノを9曲(うち1曲はミックス違い)を収録しています。

既に当方のブログでディスク1ディスク2も紹介済みなのですが、
サントラの宣伝も兼ねてもう少し何か書くことがあるだろうと思ったので、
エンディングテーマの歌詞をご紹介させて頂きます。

 

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