カーズ2(映画について)

うーん、今回はメーター(おとぼけオンボロレッカー車)が主役なのね・・・。『カーズ2』というより、メーターが主役のスピンオフ映画と言った方がいいかもしれませぬ。

前作『カーズ』(06)では助演キャラだったので、メーターの自覚のないトラブルメーカー&空気の読めなさっぷりもギリギリ許容範囲だったのですが、今回はほとんど主役級の扱いなのでおバカっぷりもパワーアップ(泣)。最初から最後までトンチンカンな言動を繰り返すし、正直見ていてツラかった・・・。劇中、マックィーンが「僕はメーターにひどい事を言ってしまった」と後悔するシーンがありましたが、少なくとも日本のパーティーのシーンで彼が言ってた事は正論じゃないかと思うけどなぁ。

メーターに感情移入できないのは自分が屈折しているせいだろうか?と思ったものの、メーターをジャージャー・ビンクスと評した感想を結構見かけたので、まぁ自然な反応なのかな、と思った次第。どうもアメリカ人は「自覚のないおバカキャラ」を面白がる傾向があるらしい。ジャージャー(ま、コイツはSWファンに嫌われましたが)とかアダム・サンドラーとか、日本人にはチト笑えない芸風かと。

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I am Number Four (音楽について)

i am number four

D.J. カルーソという監督は作品ごとに作曲家を変えてくるので(トーマス・ニューマンからクリストフ・ベック、フィリップ・グラスにジェフ・ザネリ、果てはブライアン・タイラーまで、何とも節奏のない人選)、次に誰を起用するのか読めない人です。

今回の『アイ・アム・ナンバー4』(11)では、トレヴァー・ラビンを起用しました。
割と手堅い人選で来たなぁ、という印象。

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I am Number Four (映画について)

2007年の英国製アクション映画『アレックス・ライダー』の美少年っぷりで話題を呼んだアレックス・ペティファー久々の主演作。

『アレックス・ライダー』から4年ほど経って、一気に大人っぽく(逞しく?)なってました。二枚目っぷりは相変わらず。多分、この映画の見所はCGでもアクションでもなく、ペティファーの美男子っぷりではないかと。

「宇宙から来た超能力少年と極悪宇宙人のバトル+青春学園ドラマ」という内容を聞いて、何だか少年ジャンプの漫画的というか、『ヤング・スーパーマン』っぽい内容だなーと思ったら、脚本が『ヤング・スーパーマン』のクリエイター・チームでした。原作はピタカス・ローアのヤング向け小説。

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UNKNOWN / アンノウン(音楽について)

unknown

『アンノウン』(11)の音楽を担当したのはジョン・オットマン。
本作のジャウム・コレット=セラ監督とは、
「パリス・ヒルトンが惨殺されるホラー」として有名な『蝋人形の館』(05)と、
極悪少女の正体が強烈な傑作ホラー『エスター』(09)に続く3度目のコラボレーション。

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UNKNOWN / アンノウン(映画について)

リーアム・ニーソン主演のサスペンス映画『アンノウン』(11)。

当初は『身元不明』の邦題で公開する予定だったものの、
東日本大震災の影響(どんな影響かはご想像にお任せします)で、
急遽原題の『アンノウン』に変更になりました。

こういう事態になる前から、
『身元不明』というタイトルは正直ビミョーだと思っていたので、
(チケット売り場で「”身元不明”一般1枚下さい」と言うのもちょっとねぇ…)
原題に戻して正解だったと思います。

2006年にジム・カヴィーゼルやグレッグ・キニアが出演した同名タイトルの密室サスペンス(これも割と面白かった)があるのですが、
まぁタイトルが被ってしまってもこの場合致し方ないという事で。

で、こっちの『アンノウン』について。

一時的に記憶を失った男が、
不可解な事態に翻弄されながらも自分自身を取り戻すというお話という事で、
ノリ的には『フランティック』(88)と『トータル・リコール』(90)、
『ボーン・アイデンティティー』(02)をミックスしたような感じでなかなか面白かった。
例によって終盤には大ドンデン返しというか”オチ”があるわけですが、
そのオチが分かった上で、
序盤のリーアム・ニーソンとジャニュアリー・ジョーンズ夫妻の会話を思い出してみると、
「あぁ、確かにつじつまの合う事を言ってるな」と思ったり。

オチとしてはかなり強引な部類に入ると思いますが、
その展開に説得力を持たせているのが、ニーソンの演技力や真摯な佇まいという事になると思います。
この人だからマーティン・ハリスというキャラに真実味を与えられるわけで、
もしニコラス・ケイジやトム・クルーズあたりがマーティンを演じてしまうと、
本人のキャラが濃すぎてストーリーが作り物っぽくなってしまう。

基本的にサスペンス映画なのですが、
映画の中盤から後半にかけて結構派手なアクションを見せてくれまして、
クライマックスでは『96時間』(08)で悪党どもを皆殺しにした、
破壊力抜群の”リーアム拳”も披露してくれます。
(今回は”リーアム無双”とまではいきませんでしたが)
彼の殺陣の動きはものすごくシャープでキレがあるので、
実にカッコイイ。

己の拳で敵をブチのめすところとか、
家族のために戦いに身を投じるところとか(これは『96時間』の話ですが)、
目的のためなら手段を選ばずに暴走するところとか、
ニーソンはハリソン・フォードの系譜に繋がるミドルエイジ・アクション・スターという感じ。

共演者もダイアン・クルーガー、ブルーノ・ガンツ、セバスチャン・コッホらヨーロッパ系俳優がいい味を出してまして、
中でもドイツ秘密警察の生き残りを演じたガンツがインパクト大。
フランク・ランジェラと対峙するシーンが彼の最大の見せ場でしょう。
マーティンになりすます「マーティンB」役で久々にエイダン・クインを見ましたが、
ニーソンとプライベートで親友同士という事を知った上で対決シーンを見ると、
なかなか面白いです。
特に2人が「俺が本物のマーティン・ハリスだ!」と言い争いをする場面。
妙に息が合ってて笑えます。

音楽についてはまた次回。