ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島(音楽について)

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『ナルニア』シリーズはこれまでハリー・グレッグソン=ウィリアムズが音楽を担当していましたが、監督がマイケル・アプテッドに交代した事により、音楽担当もアプテッドご贔屓のデヴィッド・アーノルドに代わりました。

アーノルドといえば、最近はすっかり「007映画の専属作曲家」という感じになりましたが、一連の007シリーズで聞かせている「オーケストラ+打ち込み」という作風とはうって変わって、今回の『アスラン王と魔法の島』では全編正統派のフルオケ・スコアを聞かせてくれています。アーノルドが活劇タッチの音楽を作曲するのは、三銃士をメイド・イン・香港チックなワイヤーアクションで撮った珍奇な映画『ヤングブラッド』(01)以来になると思われます。

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ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島(映画について)

先月末にTOHOシネマズ 六本木ヒルズで試写を観てきたのですが、『ナルニア』を映画館で観るのは今回が初めてでした。

1作目も2作目もスターチャンネルで放送していたやつを観たのですが、上映時間が2時間以上で、その割には合戦シーンがあっさりしていてイマイチ盛り上がらないなーという印象でございました(まぁ、基本的に子供向けの映画ですから・・・)。

が、今回は上映時間が1時間52分とタイトにまとまっているうえに、映画終盤の大ウミヘビとのバトルシーンが結構迫力がありまして、シリーズ中一番よく出来てるのでは? と思いました。「『アバター』品質の3D映像!」かどうかは正直微妙ですが。

さて『ナルニア』シリーズといえば、ハリポタとか指輪物語に比べると「子役が地味」というイメージがあったわけですが、ペベンシー兄妹のうち、あっさり顔の長男ピーターといしのようこ似の長女スーザンは前作でナルニア卒業となったため、今回は次男のエドマンドと末っ子のルーシーが晴れて主人公となりました。エドマンド役のスキャンダー・ケインズがなかなかのハンサム君に成長してまして、美少年好きの女性映画ファンはとりあえずこの点だけでも本作を押さえておいて損はないかと。僕の友達(女性)は「エドマンドは絶対成長したらイケメンになる」と1作目の時から確信していたそうですが、彼女の読みは当たってました。

ダニエル・ラドクリフは、この先どんな役を演じてもずっとハリー・ポッターのイメージがついて回る気がするし、イライジャ・ウッドはあの「ぱっちりおめめ」が役の幅を狭めている印象があるのですが、スキャンダー君はいい意味で色がついていないので、他の映画でもソツなくいろんな役を演じる事が出来るんじゃないかなーと思う。

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アメリア 永遠の翼(音楽について)

amelia

前回のブログでこの映画の見所のひとつとして挙げたのが、ガブリエル・ヤレドのオリジナル・スコア。
というわけで、本日は『アメリア 永遠の翼』の音楽について少しばかりご紹介を。

ヤレドといえば、ヨーロッパに比べるとハリウッドでの評価がイマイチ低い事で有名(?)で、最近だと『トロイ』(04)で公開直前になって音楽を差し換えられるというムゴい仕打ちを受けています。音楽の差し換えトラブルは『トロイ』以前にもあったし・・・。気の毒すぎます。何でこう、アメリカ人プロデューサーはヤレドの音楽のよさが分からないんだろう。

そんなわけで、ヤレドは何となく「悲運の作曲家」という印象が強くて、彼の音楽を愛好する身としては何ともやりきれない気持ちになるのですが、この映画ではトレードマークとも言える美メロをたっぷりと聞かせてくれて、実に頼もしい限りです。

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アメリア 永遠の翼(映画について)

この映画、当初は20世紀フォックス配給と聞いていたのですが、いつの間にかショウゲートさん配給に変わってました。

で、先月マスコミ試写に行ってみたら、場所は20世紀フォックス試写室。このあたりの流れがよく分かりませんが、まあ映画がめでたく日本公開になったので、自分はそれだけで十分です。

『アメリア 永遠の翼』は、世界恐慌時代のアメリカで女性として初の大西洋横断飛行を達成したパイロット、アメリア・イヤハートの伝記映画です。タイトルロールを演じるのはヒラリー・スワンク。プレス資料とか映画の中でアメリア本人の顔を確認出来ますが、二人とも顔つきが似てるんだ、これが。ちなみにスワンクは髪型や歩き方、話し方をアメリア本人そっくりに似せただけでなく、飛行機の操縦訓練まで受けて撮影に臨んだとか。

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クロッシング -Brooklyn’s Finest- (音楽について)

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というわけで、前回のつづきで『クロッシング』に関するあれやこれやを。
今日はサントラ盤の発売も近いので音楽について。

アントワン・フークア作品の音楽と言えば、

『リプレイスメント・キラー』(98):ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
『ワイルド・チェイス』(00):マーク・マンシーナ
『トレーニング デイ』(01):マーク・マンシーナ
『ティアーズ・オブ・ザ・サン』(03):ハンス・ジマー
『キング・アーサー』(04):ハンス・ジマー
『ザ・シューター/極大射程』(07):マーク・マンシーナ

・・・と、実に分かり易い作曲家の選び方をしています。この感じで行けば、今回の『クロッシング』もマンシーナか、あるいは他のRC系コンポーザーに落ち着くだろうと予想するわけですが、実際に白羽の矢が立ったのは『グッド・シェパード』(06)、『闇の列車、光の旅』(09)のマーセロ・ザーヴォスという意外な人選。「え?マンシーナじゃないの?」と、まずここで驚く。

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