格闘技の「打撃音」と父子の「距離感」を疑似体験させてくれる、『ウォーリアー』のマーク・アイシャムの音楽

隠れた名作として根強い支持を集める映画『ウォーリアー』(11)が、1週間限定で上映されるとのこと。

この作品、日本では当時劇場未公開で4年後にDVDリリースとなったわけですが、「なぜこんな名作を劇場公開しなかったのか」と思う前に、本国での公開が2011年9月であったことに気づかなければいけないのかもしれません。

今更申し上げるまでもなく、2011年といえば日本では3月に東日本大震災があった年であり、9月はまだ復興の道すがら。
映画の興行も震災で受けた打撃をまだ引きずっていたと思われるので、「確実にヒットが見込めそうな作品」でもない限り、何でもかんでも劇場公開できる状況ではなかったのだと思います。

『ウォーリアー』は「総合格闘技」という観る人を選ぶ題材の作品だったこともあり、劇場公開が見送られたのではないかと考えられます。
元WWEのレスラーにして五輪メダリストのカート・アングルがロシアの最強格闘家コーバ役で出ているからといって、それが”引き”の要素(いわゆる集客力)になる感じでもありませんし。

その後『マッドマックス/怒りのデス・ロード』(14)のヒットでトム・ハーディの顔と名前が広く知られるようになって、ようやく「マッドマックスのトム・ハーディ主演」というキャッチコピーでDVDリリースに漕ぎ着けることができたと。そんな感じだったのだと思います。

日本においては「アメリカでの公開時期が悪かった不運な映画」だったとも言えるでしょう。

Warrior (Original Motion Picture Soundtrack) – amazon music

自分はマーク・アイシャムの音楽が好きなので、映画本編を観る前にサントラを買って“予習”して聴いていたため、DVDで映画を観る頃にはアイシャムの劇伴が全て頭の中に叩き込まれているような状況でした。

せっかくなので、今回の期間限定上映の機会に劇伴の聴きどころなどご紹介したいと思います。

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