『マークスマン』のBANGER!!!コラムの補足的なお話

先日、BANGER!!!でリーアム・ニーソン主演最新作『マークスマン』(21)の見どころポイントと音楽の紹介記事を書きました。

麻薬カルテルから少年を守れ!! リーアム・ニーソンの逃避行アクション『マークスマン』 音楽はドラマ『24』の作曲家 | BANGER!!!
https://www.banger.jp/movie/70957/

めぼしいことは大体コラムの中で書いたと思うのですが、もう少し補足しておいたほうがいいかなというネタも少しあるので、それについては当方のブログで書かせて頂きます。

音楽担当は『24 -TWENTY FOUR-』(01~10, 14)のショーン・キャラリー。
最近だと『BULL/ブル 法廷を操る男』(16~)の音楽を担当してます。
テレビシリーズの音楽制作をメインに手掛けている方なので、長編映画のスコア作曲は久々になります(当方調べでは8年ぶりくらいだと思います)。

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2021年最後に買ったサントラ盤(『ラブ・アクチュアリー』スコア盤/『クエスト・オブ・キング 魔法使いと4人の騎士』)

11月中旬あたりから怒涛の原稿締切ラッシュが続いておりまして、ブログの更新が思いっきり滞っております。

そんなわけで、最近買ったサントラ盤をご紹介して(…と言っても2枚だけですが)2021年最後のブログにさせて頂きたいと思います。

■その1:『ラブ・アクチュアリー』(03)スコア盤

クレイグ・アームストロングの音楽をこよなく愛するアームストロンガーとしては、映画の公開当時から発売してほしいと思っていた『ラブ・アクチュアリー』のスコア盤。

当初の予定より発売日が延びたということで、クリスマスの日に手に入ればいいネタになったのですが、このアルバムと”おまとめ発送”にしていた某サントラ盤も入荷が延びに延びまくったので、おとといになってようやく手に入りました。。

スコア盤の宿命である「コンピ盤に比べてジャケ写が地味」という件ですが、このアルバムに関して言えばジャケットがリバーシブル仕様になっているのが密かに嬉しい

コンピ盤では数曲しか聴けなかったアームストロングのスコアが60分近く聴けて幸せです。

クレイグ・アームストロング/ラブ・アクチュアリー(3000枚限定:スコアアルバム/輸入盤) – amazon
Craig Armstrong / Love Actually (Original Motion Picture Score) – TOWER RECORDS

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『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』を久々に観たのでその雑感。

先日、キングレコードの「死ぬまでにこれは観ろ! 2021」で『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』(81)のブルーレイをゲットしました。
BSやCSの映画チャンネルでもなかなか放送の機会がなくて、数年ぶりに本編を観た気がするのですが、実に見応えがありました。

「コンピューターでガードされた、ロス最大の地下金庫が深い眠りについた時、俺のラスト・ビジネスが始まった!」


…と見出しには書いてあるものの、プロの泥棒であるフランクのやり方は、ドリルで金庫に穴を開けたり、特別製のトーチで扉を焼き切ったり、ケーブルの束からお目当てのケーブルを探り当てたり、アナログ現場作業なのがグッと来る。
「コンピューターのネットワークに侵入して手を加えて完了!」という近年のケイパー映画の展開に食傷気味なので、上記のような“プロの技”が劇中で丁寧に描かれるとつい見入ってしまう。

80年代といえば、痛快無比なワンマンアーミー的アクション映画とハッピーエンドが主流だったのに、当時これだけ虚無的なエンディングの映画を撮ってしまうマイケル・マンはやっぱりすごいなとも思いました(華やかなビジュアルで誤解されがちですが、『特捜刑事マイアミ・バイス』も救いのないバッドエンドのエピソードが結構多かった)。

ジェームズ・カーンのプロフェッショナルな銃さばきとか、衣装係が8週間かけて探し回ったけどいいものが見つからなくて、結局スタッフが自作してしまったジェームズ・ベルーシのアロハシャツとか、スタントマンと何度も何度も特訓したベルーシの被弾シーンとか、ベルーシの結婚式の日に追加撮影のスケジュールを入れて、マン自ら彼の婚約者に「撮影が入ったから式を1週間伸ばしてくれ」と電話したとか、この時からマイケル・マンのこだわり(完全主義者っぷり)が随所に炸裂しているのも素晴らしい。

ちなみに映像特典扱いだった本作の4Kレストア版本編ですが、同じ映画とは思えないほど映像のトーンが違ってました。
4Kレストア版は青みの強い寒色系の映像といえばいいのかな。よりフィルム・ノワールっぽい映像になっている印象ですが、80年代的「ネオン・ノワール」の雰囲気を楽しむならば、通常マスター版の彩度強めな映像もいいんですよね。
だからこの映画の場合、通常版と4Kレストア版のどちらがいいかというのは観る人の好み次第といったところ。
ワタクシは通常マスター版の映像に目が馴染んでしまっている感じ。だからこそ、4Kレストア版が新鮮な気持ちで観られましたが。

そんなわけで『ザ・クラッカー』を久々に堪能したので、サントラ盤も連日聴きました。

ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー オリジナル・サウンドトラック(amazon)
ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー オリジナル・サウンドトラック<期間限定盤> (TOWER RECORDS)

https://store.universal-music.co.jp/feature/soundtrack2024

音楽担当はタンジェリン・ドリーム。
ワタクシ、今年はBANGER!!!にフリードキン映画の音楽コラムを書いたこともあって、『恐怖の報酬』(77)のタンジェリン・ドリームの音楽をよく聴いたような気がするのですが、個人的には『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』の音楽のほうが好きです。

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【聴いたら最期】 映画『ヒッチャー』のサントラ盤が30年ぶりの再発売&たぶん初の日本盤リリースになります。

ランブリング・レコーズ様のご依頼で、映画『ヒッチャー』(86)の日本版サントラ盤に音楽解説を書かせて頂きました。
音楽担当は『リバー・ランズ・スルー・イット』(92)のマーク・アイシャム。

『ヒッチャー』のサントラ盤は1991年にSilva Screen Recordsから発売になって以来ずっと廃盤だったのですが、リリースから30年という節目にジャケット画像やブックレットの内容をリニューアルして、めでたくリイシューとなりました。

収録曲は同じですが、コアなサントラリスナーの間で「これ曲タイトル逆じゃね?」という指摘があった12曲目と13曲目のタイトルが修正されてます。
新装リイシュー盤では12曲目が”Guards And Cards”、13曲目が”Endgame”に修正されています。
…といいつつ、12曲目は映画本編だと曲タイトルで示唆されているシーンではなく別なシーン(ジョン・ライダーがハルジーを乗せたパトカーの警官をおもむろに射殺するシーン)で使われているのですが。

ちなみに『ヒッチャー』の音楽については、ニューマスター版が日本公開になった時、ブログで結構長々と書かせて頂きました。

【聴いたら最期】『ヒッチャー』のシンセスコアは時代の先を行くサウンドだったと思う
https://www.marigold-mu.net/blog/archives/10876

しかし差込解説書に音楽解説を書くとなると、もっとしっかりした内容を書かなければいけないだろうということで、一生懸命原稿を書かせて頂きました。

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BANGER!!!で書いた『アイス・ロード』音楽紹介コラムの補足的なお話

先日、BANGER!!!で映画『アイス・ロード』(21)の音楽紹介コラムを書きました。

トラック野郎リーアム・ニーソン出陣!『アイス・ロード』 長距離ドライバーの矜恃をカントリー音楽と熱い劇伴で描く
https://www.banger.jp/movie/67677/ #BANGER

書くべきことはほぼ書けたかなとは思うのですが、製品情報などについてもう少し補足しておいたほうがいい気がしたので、当方のブログにて書かせて頂きます。

BANGER!!!のコラムの中でも書いたとおり、こちらの映画のサントラは「ソングコンピアルバム」と「スコアアルバム」の2種類がリリースされています。

まずコンピアルバムですが、映画本編で使われた曲が6曲と、映画で未使用の発売元レーベルの”推し”アーティストの曲が6曲という、いわゆる”Music from and inspired by”のアルバムとなっています。
で、ダウンロード版は12曲なのですが、CDアルバムだと1曲少ない11曲になっています。

とはいえ映画で未使用の曲が1曲入っていないだけなので、amazonでアルバムを購入するならば、DL版より値段が安いCDで買ったほうがお買い得ではないかと思います

ちなみに「映画本編で使われた曲が6曲」と書きましたが、ゲイリー・レボックスの「We Got Fight」と、アリソン・ムーラー&マーク・コリーの「All Coming Down」はエンドクレジットで流れるので、劇中で流れる歌曲は4曲ということになります。

そしてお次はスコアアルバム。
音楽担当のマックス・アルジは『クロール 凶暴領域』(19)の人ですね。
リモート・コントロール・プロダクションズで修行した作曲家さんですが、最近になってRCPから独立したっぽいです。


今回は『クロール』の時のようにローン・バルフが音楽プロデューサーとして名を連ねていないのも、そういうことなのではないかなと。

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