ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、NETFLIXで配信中の映画『この茫漠たる荒野で』(20)のサントラ盤に音楽解説を書かせて頂きました。
音楽担当は『ファンタスティック・ビースト』シリーズ(16,18)や『ナイトクローラー』(14)のジェームズ・ニュートン・ハワード(以下JNH)。
まずサントラ盤の概要については、BANGER!!!に書かせて頂いたこちらのコラムをご覧下さい。
アカデミー賞有力! Netflix『この茫漠たる荒野で』 壊れた世界を調和へと導く意味深長な音楽
https://www.banger.jp/movie/53607/
サントラ盤のブックレットにはポール・グリーングラス監督の比較的長めのライナーノーツが載っていたので、こちらは学生時代の恩師に全訳をお願いしました。
『この茫漠たる荒野で』の音楽のこと、そしてパンデミックでボロボロになっている今日の現実世界のことなど、かなり大事なことが書かれてあったので、これはプロの方に翻訳して頂いたほうがいいなと思ったので。これを読むのと読まないのとでは、本作の音楽に対する見方(聞き方)もかなり変わってくると思います。
さてワタクシはJNHの音楽が大好きでして、学生時代(90年代前半)からいろんなサントラを買い漁っていました。
『メジャーリーグ』(89)や『摩天楼を夢みて』(92)…はコンピ盤でしたが、『逃亡者』(93)とか『ダイヤルM』(98)とか『ディアボロス 悪魔の扉』(97)とかいろいろです。
個人的に一番好きなJNHの作品は、何と言っても『わかれ路』(93)ですね。トゥーツ・シールマンスのハーモニカをフィーチャーした、コンテンポラリー・フュージョン系のスコアがすごくよかった。
しかしながら、サントラリスナーとの会話で「ジェームズ・ニュートン・ハワードが好き!」と公言しても、なかなか会話が盛り上がってくれなかったり、「あ、そうなんですか。ところで私はですね…」と華麗にスルーされたり、「通ぶってマニアックな作曲家を選びやがって」と思われたり、個人的な体験から言ってもいい思い出がほとんどなかった。「ビートルズのメンバーで誰が好き?」と聞かれて、「ジョージ・ハリスン」と答えた時の相手のリアクションに似ているかもしれません。
でも、いや、そんな感じだからこそ、「ジェームズ・ニュートン・ハワードの音楽はいいぞ」とワタクシは声を大にして申し上げたいわけです。