『マルホランド・ドライブ』のアンジェロ・バダラメンティの音楽はもっと評価されていいと思う。

『マルホランド・ドライブ』(01)4Kレストア版の1週間限定リバイバル上映があるということで、音楽のことについて書いてみたいと思います。

映画の解釈については既にあちこちのサイトで解説が書かれているので割愛。
当方のブログでは音楽一本に絞って書きます。

『マルホランド・ドライブ』は『ストレイト・ストーリー』(99)に続いて批評家筋の評価が高かったデイヴィッド・リンチ作品としてつとに有名ですが、アカデミー賞では監督賞ノミネート、カンヌ国際映画祭では監督賞受賞/パルムドールノミネート、全米批評家協会賞では作品賞/主演女優賞受賞、ゴールデングローブ賞では作品賞/監督賞/脚本賞/音楽賞ノミネート、BAFTAアワードでは編集賞受賞/作曲賞ノミネート…といった感じで、作品とリンチの演出、ナオミ・ワッツの演技の評価が高かった。

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個人的にはアンジェロ・バダラメンティの音楽もアカデミー賞の作曲賞にノミネートされてしかるべき完成度だったと思っております。それぐらい奥が深いし、緻密に作りこまれている。では劇伴のどんなところが秀逸なのか。そのあたりをご紹介していこうかなと。

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『パピヨン』Quartet Recordsリマスタリング完全盤を購入したお話

先日(と言っても8月のお話ですが)、ジェリー・ゴールドスミスの『パピヨン』(73)リマスタリング完全盤サントラを買いました。

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パピヨン リマスタリング完全盤(サウンドトラック・輸入盤国内流通仕様)- TOWER RECORDS
PAPILLON Expanded Original Motion Picture Soundtrack(輸入盤)- TOWER RECORDS

『パピヨン』のサントラCDはまず1988年にSilva Screen Recordsから全10曲・収録時間35分のものが発売になり、その次にUniversal Franceから全15曲・収録時間46分のものが発売になって、2017年にQuartet Recordsからソースミュージックとボーナストラックを追加した全27曲・収録時間71分のものが発売になったという流れのようです。今年再販になったのはその2017年のQuartet盤になります。

自分が2017年にQuartet盤の購入を見送ったのは、『パピヨン』は名作ではあるもの重い内容なので何度も観たい感じの映画ではなく、BS/CSでも映画を観る機会がそれほど多くなかったからでした。

しかし70年代ゴールドスミスの代表作(傑作)のひとつと名高いサントラを買わずに済ませるわけにも行かないだろうということで、今回の再版の機会に「やっぱり買っておこう」と考え直したのでありました。これを逃したらもう『パピヨン』のサントラは買えなくなりそうだからという理由もあります。

そうして『パピヨン』のサントラを聴いて改めて思ったのは、「ワルツの要素を取り入れたテーマ曲が素晴らしいな」ということでした。1990年代の重厚なアクション映画音楽からゴールドスミス作品に触れていった自分としては、アコーディオンを用いたヨーロピアンテイスト溢れる音楽がとても新鮮に聞こえたものです。

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『スペースバンパイア』の拡張盤サントラを買ったので、その勢いでブルーレイも買ってしまったお話。

先日、遅まきながらIntradaから発売になった『スペースバンパイア』(85)の拡張盤サントラを買いました。CD2枚組のヘンリー・マンシーニ版と、マイケル・ケイメン版の2種類。

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【輸入盤国内流通仕様】オリジナル・サウンドトラック スペースバンパイア(ヘンリー・マンシーニ版) – TOWER RECORDS

【輸入盤国内品番仕様】スペースバンパイア(マイケル・ケイメン版)- amazon
【輸入盤国内流通仕様】オリジナル・サウンドトラック スペースバンパイア(マイケル・ケイメン版) – TOWER RECORDS
LIFEFORCE / ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK (Michael Kamen) – TOWER RECORDS

自分は『スペースバンパイア』初心者なので「なぜ2種類サントラが出ているのか?」と思いましたが、簡単に言えば「編集の段階で映画を短くしたらマンシーニの音楽と尺が合わなくなり、ケイメンに代替スコアを書かせた」ということです。
ブックレットのライナーノーツによると当初この映画は2時間以上あったものの、試写で「展開がスロー」という意見が出て、テンポをよくするために2時間以内に収めたらしい。「ああ、それで映像をカットした部分はマンシーニの曲と尺が合わなくなったのね」と納得した次第です。

そういった経緯を知ると、映画本編でマンシーニの音楽とケイメンの音楽がどんな感じで混ざり合っているのか気になってきて、ちょうどキングレコードの「死ぬまでにこれは観ろ!! 2024」のラインナップに加わっていたブルーレイも買ってしまったのでした。

スペースバンパイア [Blu-ray] /「死ぬまでにこれは観ろ!! 2024」- amazon
スペースバンパイア [Blu-ray] /「死ぬまでにこれは観ろ!! 2024」- TOWER RECORDS

で、いざ映画本編を観てみたらケイメンの音楽が一向に流れてこない。
「あれ? おかしいな…」と思って調べてみたところ、今回「死ぬまでにこれは観ろ!! 2024」でリリースになった『スペースバンパイア』は116分のディレクターズカット版で、当時は101分のアメリカ公開版(劇場公開版)というものがあったらしい。たぶんケイメンが作曲した代替スコアはそのアメリカ公開版で聴けるということなのでしょう。

実際に両方のバージョンを鑑賞して、しっかり確認した上でブログを書きたかったのですが、現在101分の劇場公開版が観られるブルーレイは高値がついてしまっており、気軽に買えるような代物ではなくなってしまったため、曲の確認ができません…。ま、たぶんそういうことなのだろうと考えることにします。

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BANGER!!!で書いた『ターミネーター2』(ほかシュワ映画3タイトル)音楽コラムの補足的なお話

『ターミネーター2』(91)が2週間限定でリバイバル上映されるということで、先日映画情報サイト「BANGER!!!」に音楽コラムを書きました。

「ダダン・ダン・ダダン」のテーマ曲はフライパンの音も使用!『ターミネーター2』ほかシュワルツェネッガー映画の〈音楽〉を濃厚解説 | https://www.banger.jp/movie/121074/

見出しで「濃厚解説」なんて書いてありますが、テーマ曲でフライパンを叩いた音を使っている件も、リズムを手動で悪戦苦闘しながら同期させたらあのテーマ曲が出来上がった件も、今となっては割と知られた話なので、『ターミネーター』シリーズの音楽については比較的あっさりご紹介したつもりです。自分はラーメンも濃厚系よりあっさり系が好きですし(そういう話じゃない)。

それに先日「午後のロードショー」で『ターミネーター』(84)の放送があった際、ブログでサントラ盤のリリース状況などもご紹介済みだったのでした。

だからここだけの話、今回のコラムでは『ターミネーター2』のリバイバル上映のタイミングに乗っかって、音楽について語られる機会の少ない『イレイザー』(96)、『コラテラル・ダメージ』(02)、『大脱出』(13)のスコアをビシッとご紹介したいという思いのほうが強かったのであります。

…そんなわけで、当方のブログでもう少し掘り下げた話を書かせて頂きたいと思います。

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「野球」を通してアメリカの伝統を音楽的に描いたベイジル・ポールドゥリスの隠れた名作『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』のデラックス版スコアアルバム

Varese Sarabandeから2,000枚限定で発売になった『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』(99)の拡張盤スコアアルバムを買いました。

For Love Of The Game (Deluxe Edition) – TOWER RECORDS

ちなみにデジタル版も出てます。
For Love Of The Game (Original Motion Picture Score / Deluxe Edition) – amazon music

ポールドゥリスといえば”『コナン・ザ・グレート』(82)の作曲家“、”『ロボコップ』(87)の作曲家“、”『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)の作曲家“など骨太マッチョなアクション劇伴を得意とする映画音楽家という印象が強いのですが、登板機会の少ないドラマ作品でも優れた手腕を発揮していたことはリスナーの間でつとに有名な話。

中でも『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』は晩年のポールドゥリス(2006年没)が放った決勝ホームラン級の傑作ドラマ劇伴でした。

For Love Of The Game (Original Motion Picture Score) – amazon music

自分は劇場公開当時に映画館でこの作品を観ていたく感動し、映画鑑賞後CDショップに立ち寄ってサントラ盤を買ってから帰宅しました。
ソングコンピ盤とスコア盤の2種類がサントラ出ていましたが、もちろん自分が選んだのはスコア盤です。

通常版のスコアアルバムはこの時期の”Vareseサントラあるある”で収録時間が30分くらいで短かったのですが、今回の拡張盤は全35曲・収録時間78分。”Not on final film”と書かれた曲が3つくらいあるので、本編で使われた劇伴は70分くらいと思われます。

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