『ウルフ・オブ・ウォールストリート』公開記念企画 『グッドフェローズ』のサントラを補完する

goodfellas

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)公開記念ということで、久々のサントラ補完ネタです。
今回のお題はマーティン・スコセッシ監督の最高傑作『グッドフェローズ』(90)。

「ジュークボックス状態で流れる懐メロ」
「Fワード連発リズミカルなダイアログ」
「2時間以上の上映時間があっという間のスピーディーな映像」

…と『ウルフ・オブ・ウォールストリート』と共通する点も多いし、レオ様のモノローグも途中からレイ・リオッタの声にしか聞こえなくなってきたし、このネタをやるなら今しかないだろうと思った次第です。

今さら言うのも何ですが、アカデミー賞関係者の皆さんは何で『グッドフェローズ』でスコセッシに監督賞を授与しなかったんでしょうね…。よりによって、スコセッシ本人が「自分は一体何を撮ってるんだ」と思いながら撮っていたという『ディパーテッド』(06)で賞をあげてしまうとは…。

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映画予告編音楽シリーズ、TRAILERHEADの日本独自企画盤で「熱くなれ!」

trailerhead

『Introduction to TRAILERHEAD』がいろんな意味でアツいらしい。

TRAILERHEAD(トレイラーヘッド)は、
映画の予告編音楽を製作する音楽製作会社「イミディエイト・ミュージック」がリリースしている、
予告編音楽のコンピレーション・アルバム・シリーズ。
「トレイラーヘッド」はアーティスト名やユニット名ではありません。
「ケルティック・ウーマン」とか「Feel」のようなシリーズ名に相当します。
なのでアーティスト名は社名の「イミディエイト」という事になりますかね。

このシリーズはこれまで「Trailerhead」、「Saga」、「Triumph」の3枚が発売されていて、
今回の「Introduction to Trailerhead」は、
過去3枚のアルバムから「2分でボルテージ最高潮!」になれる曲を、
各アルバムから5曲ずつセレクトした日本独自編集盤です。
正式には「(トレイラーヘッドの)イントロダクション盤」という位置づけではありますが、
事実上の「ベスト盤」と言っていいでしょう。

それにしても、サントラにハマるなら分かるけれども、
映画本編で使われない予告編音楽に目をつけるなんて、
よっぽどのマニアだろうと思っておりましたが、
これが意外と(というか、かなり)売れているらしい。

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『エージェント:ライアン』サントラ盤のこと -パトリック・ドイル、シンセ・スコアに開眼するの巻-

jack ryan

『エージェント:ライアン』(13)の音楽を手掛けたのは、ケネス・ブラナー監督の盟友パトリック・ドイル。ワタクシの好きな映画音楽家の一人です。
何しろ初めて買ったサントラ盤(スコア盤)は『カリートの道』(93)だったし、その姉妹編とも言える『フェイク』(97)の音楽もよかったし、以前『スルース』(07)のサントラ盤ライナーノーツも担当したことがありました。

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新進気鋭の作曲家、ベンジャミン・ウォルフィッシュの緻密な編曲が光る『ハリケーンアワー』の音楽

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ポール・ウォーカーが無人の病院で発電機のハンドルを回し続けて奮闘する、
限定空間型サバイバル・スリラー『ハリケーンアワー』(13)。
音楽はイギリス人の若手作曲家ベンジャミン・ウォルフィッシュが手掛けております。

インディペンデント映画のサントラの面白さは、
あまり有名でない(あるいはブレイク前の)作曲家の仕事が楽しめること。
ウォルフィッシュの場合は後者にあたるミュージシャン。
最近だとブライアン・コックス主演のUK産脱獄映画『DATSUGOKU-脱獄-』(08)の音楽を担当してます。
入り組んだ物語構成と、UKを代表する演技派俳優のアンサンブルが実に見応えある作品でした。
音楽的にもかなり面白いアレンジを聞かせているので、個人的にオススメです。

 

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パイプオルガンの響きに「神」を見た… クリフ・マルチネス作曲『オンリー・ゴッド』の音楽のこと

only god forgives

『Only God Forgives』(13)という原題が、
どうしてForgivesを省いて『オンリー・ゴッド』になってしまったのか。
『プレステージ』(06)の没タイトル『イリュージョンVS』に匹敵する、
英文法的にちょっとおかしい「ブツ切り系」の邦題に久々に遭遇した気がする。
まぁ強引に解釈するなら、
原題は「神のみが許したもう」的なニュアンスで”赦し”を強調したもの。
一方、邦題は「唯一神」的な意味合いを強くしたのかなと。
で、その「神」に相当するのが鉄面皮のチャンさんという事なのでしょう。

それにしても、いろんな意味ですごい映画だった…。
チャンさんが俺様ルールで悪党(罪人)を「処刑」する度に、
「残虐行為手当」とか、
「なさけ むよう」とか、
「FATALITY」と字幕が出るんじゃないかという気分になりました。
(分かる人には分かる表現かと)

ライアン・ゴズリング主演×ニコラス・ウィンディング・レフン監督
『ドライヴ』のコンビが映画の既成概念を破壊する――

そんなキャッチコピーの方が合ってるかもしれません。
『ドライヴ』のノリを期待すると「何じゃこりゃ」と面食らう事必至ですので。

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