今週は別なネタを書くつもりでしたが、
フィリップ・シーモア・ホフマンの訃報を聞き、
どうしても書きたいこと出来てしまったので予定を変更しました。
『ケルティック・ロマンス』のアーティスト、
マイケル・ダナ&ジェフ・ダナのフィルモグラフィーを振り返る不定期連載企画。
今回はマイケルの作品から、
ホフマンが作家トルーマン・カポーティを演じてアカデミー賞最優秀主演男優賞に輝いた実録ドラマ、
『カポーティ』(05)のサウンドトラックをご紹介します。
今週は別なネタを書くつもりでしたが、
フィリップ・シーモア・ホフマンの訃報を聞き、
どうしても書きたいこと出来てしまったので予定を変更しました。
『ケルティック・ロマンス』のアーティスト、
マイケル・ダナ&ジェフ・ダナのフィルモグラフィーを振り返る不定期連載企画。
今回はマイケルの作品から、
ホフマンが作家トルーマン・カポーティを演じてアカデミー賞最優秀主演男優賞に輝いた実録ドラマ、
『カポーティ』(05)のサウンドトラックをご紹介します。
■デレク・シアンフランス監督によるライナーノーツ
(注:かなり大雑把な訳です)
90年代前半、ティーンエイジャーだった僕は、ミスター・バングルのライブでデンバーのゴシック・シアターにいた。
兄が彼らの1stアルバムをクリスマスに買ってくれて以来、車の中でアルバムを聴かない日はないほどだった。
ステージではバンドメンバー全員がマスクを被って演奏していて、まるでフェリーニ映画の中で自動車事故に遭ったような気分になった。
シンガーのマイク・パットンは、ボンデージマスクと馬の遮眼帯を身につけていた。
アラン・パーソンズ・プロジェクトのTIMEのカヴァーを演奏していた時、パットンはおもむろに跪いたかと思ったら、
セキュリティの男のハゲ頭を舐めてセレナーデを聞かせ始めた。
その時からマイク・パットンは僕のヒーロー、そしてアイドルになったのだ。
「鬼才(奇才)」「変態」と言われているマイク・パットンに贈る言葉として、恐らくこれ以上の賛辞はないのではないでしょうか。
サントラ盤には監督のライナーノーツが寄稿される事がありますが、
「○○は素晴らしい才能の持ち主だ」とか、
「彼の音楽は素晴らしい」というような、
至ってフツーのコメントが多かったりします。
そんな中、『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』(13)のサントラに寄稿したデレク・シアンフランス監督のライナーノーツがこれですよ。
パットンの変態的ステージパフォーマンスにあえて言及して、しかも「その光景を見て以来、彼は自分のヒーローになった」と断言するセンス。
この人は本当にマイク・パットンが好きなんだなーと伝わってくる素晴らしいライナーノーツです。単なるお世辞なんじゃありません。
シアンフランス監督が筋金入りのパットン・ファンだという事が分かるアツい文章です。
ノーマンド・コーベイルと言っても、よほどのサントラマニアでなければ「この人誰?」という感じかもしれません。
しかも”サントラマニア”といっても、「ゴールドスミスやモリコーネのレア盤発掘に余念がない人」というより、B級映画のあまり有名ではない作曲家もくまなくチェックするタイプの人。
ノーマンド・コーベイルはカナダ人の作曲家で、代表作はトミー・リー・ジョーンズの『ダブル・ジョパディー』(99)や、ウェズリー・スナイプスの『アート・オブ・ウォー』(00)など。ロバート・カーライルがヒットラーを演じたTV映画『ヒットラー』(03)の音楽も手掛けてます。
クリスチャン・デュゲイ監督作品の常連作曲家として、B級映画の音楽に箔をつけるような佳作・力作スコアを作曲していましたが、去年の今頃の時期(2013年1月25日)に亡くなられてしまいました。
先日『47RONIN』(13)のアメリカ国内での興行成績が出ましたが、
何というかまぁ…芳しくない結果ですわね。
この映画、一にも二にも製作費がかかりすぎました。
(1億7000万ドルでしたっけ?)
せめて1億ドル、いや9000万ドルくらいまで製作費を抑えておけば、
ここまでコケたと言われる事もなかったかもしれないのに…。
まぁ興行成績を知ったからと言って、
自分のこの映画に対する評価が変わる事はなく、
「皆さんイロモノ扱いするけど、評価すべき点もある映画」
…という見方は変わりませんのであしからず。
というわけで、今回は自分が一番書きたかった『47RONIN』の音楽について。
この映画、日本が世界最速公開だったわけですが、
サントラ盤はアメリカの公開日に合わせたリリーススケジュールなので、
日本国内の映画公開時期を考えると、
「たぶん日本盤は出ないなー」と思っておりました。
ところが日本盤が急遽発売される事になり、
さらにライナーノーツを自分が書く事になりまして、
慌てて原稿執筆モードに入ったのでした。
キアヌ・リーブス主演作のサントラの仕事がやりたかったし、
スコアの作曲が僕の好きなイラン(アイラン?)・エシュケリだったので、
これはもうお引き受けするしかないと思った次第です。
自分の記憶が確かならば、
エシュケリのサントラが国内盤としてリリースされるのは今回が初だったと思います。
僕はエシュケリ氏のファンでございますので、
彼のバイオグラフィーも『47RONIN』のパンフに掲載されているものより詳しく書かせて頂きました。
特に下積み時代に携わった映画のタイトルなんかは結構面白いですよ。
ジマーさんのあの映画に参加してたりとか。
新年を迎えて数日が過ぎたものの、
何だか「ハッピーニューイヤー!」という気持ちになれずにいます。
というのも、去年いろいろな訃報を聞きすぎたから。
特に映画・音楽・演劇業界の大御所の方の訃報がいつになく多かった気がします。
ポーランドの作曲家ヴォイチェック・キラールもその中の一人です。
一般的にキラールの映画音楽の代表作といえば、
フランシス・フォード・コッポラの『ドラキュラ』(92)なのでしょう。
日本初のドルビー・デジタル上映作品だったそうで、
劇場で聴くフルオケ・スコアもかなり迫力があったのではないかと思います。
しかし1992年当時の自分はまだ「映画館で映画を観る」という習慣がなく、
キラールの音楽もサントラ初心者の自分には難解すぎました。
そんなわけで、個人的に最も印象に残っているキラールの作品はというと、
ロマン・ポランスキー監督、ジョニー・デップ主演の『ナインスゲート』(99)なのであります。