『サドン・デス』は初期ジョン・デブニーのアクション劇伴の傑作のひとつではないかと思う。

先頃「午後のロードショー」で『サドン・デス』(95)の放送があったとき、「あー、この映画はなんとなく観に行ったら思った以上に面白くて、映画館で続けて2回観たっけなぁ」などと在りし日を偲んでおりました。

自分が「『サドン・デス』なかなかいいぞ」と思った理由のひとつは、まずパワーズ・ブースの悪役演技が見応えあったから。
そしてもうひとつは、ジョン・デブニーの派手に鳴らすタイプのアクションスコアが見事に当方のツボにハマったからでした。

デブニーの音楽が気に入ったのに、なぜ当時の自分はサントラ盤を買わなかったのか。
たぶんまだジョン・デブニーという作曲家のことをよく知らず、サントラの購入を先送りしてしまったのだと思います。
あとはこの時期のVarese盤サントラあるあるなのですが、CDの収録時間が30分台で少なかったせいもあったたかもしれません。

通常版サントラはデジタル版で入手可能
Sudden Death (Original Motion Picture Soundtrack)

そうは言っても力作スコアであることに変わりはなく、「やっぱりサントラ買っておけばよかったな。デジタル版でもいいから買っちゃうか」などと考えていたところ、Vareseからデラックス・エディションのサントラ盤が2,000枚限定リリースになったので即オーダーしました。

Sudden Death (Deluxe Edition) – TOWER RECORDS
※デラックス・エディションのサントラはデジタル版も出てます。
Sudden Death (Original Motion Picture Soundtrack / Deluxe Edition) – amazon music

CDを外したバックインレイのトレイ側の写真がこのシーンなのもよく分かってる感じ。着ぐるみとヴァン・ダムの本気バトルは本作の見せ場のひとつでしたからね。

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坂本龍一 『侍女の物語』のサントラ盤を聴いて気がついたこと。

前回のブログの続きです。

当方が所有している『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』(98)と『侍女の物語』(90)のサントラ盤について、ひとつにまとめて話を書こうと思ったものの、『愛の悪魔』のお話が長くなったので二回に分けました。

今回は『侍女の物語』のサントラについて書かせて頂きます。

自分の手元にあるのは1枚目の写真のアルバムなのですが、このジャケットは輸入盤のものです。

しかしバックインレイには日本語が書かれておりまして、盤面を見ると発売元もJapan Records(徳間ジャパン/徳間コミュニケーションズ)となっておりました。ちなみに国内盤サントラのジャケ写はこれ(↓)だったようです。

「なんで自分の持っているサントラは輸入盤と国内盤がごっちゃになっているんだ?」と本気で悩みました。このサントラは中古CD店で買ったので、店頭に並んでいた時点で既に変な製品だったのだろうかとも思いました。
気になって気になってネットで情報を漁り、当時(30年近く前)のことを必死に思い出した結果、このいびつな仕様の理由が分かりました。

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坂本龍一 『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』のサントラ盤を聴いて思い出したこと。

先月下旬、X(旧Twitter)で坂本龍一の名前がトレンドに上がっている期間がありました。
「なぜこの時期に?」と思いましたが、どうやら教授が監修した公式楽譜集『オフィシャル・スコアブック 坂本龍一 /04』『オフィシャル・スコアブック 坂本龍一 /05』が復刻・発売になるというニュースの関係だったようです。

オフィシャル・スコアブック 坂本龍一 /04 復刻版 – TOWER RECORDS
オフィシャル・スコアブック 坂本龍一 /05 復刻版 – TOWER RECORDS

せっかく名前をSNSでお見かけしたことだし、今日は教授のサントラを聴いて過ごそうかな…と思い立ち、近頃あまり聴く機会のなかった『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』(98)と『侍女の物語』(90)のサントラを聴くことにしました。

曲を聴きながらそれぞれジャケットを眺めていると、「そういえば…」と気がついたこと、思い出したことがいろいろと出てまいりました。せっかくなのでブログのネタにさせて頂きます

LOVE IS THE DEVIL – Original Soundtrack Recording – amazon
LOVE IS THE DEVIL Original Soundtrack Recording – TOWER RECORDS

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BANGER!!!で書いた『ターミネーター2』(ほかシュワ映画3タイトル)音楽コラムの補足的なお話

『ターミネーター2』(91)が2週間限定でリバイバル上映されるということで、先日映画情報サイト「BANGER!!!」に音楽コラムを書きました。

「ダダン・ダン・ダダン」のテーマ曲はフライパンの音も使用!『ターミネーター2』ほかシュワルツェネッガー映画の〈音楽〉を濃厚解説 | https://www.banger.jp/movie/121074/

見出しで「濃厚解説」なんて書いてありますが、テーマ曲でフライパンを叩いた音を使っている件も、リズムを手動で悪戦苦闘しながら同期させたらあのテーマ曲が出来上がった件も、今となっては割と知られた話なので、『ターミネーター』シリーズの音楽については比較的あっさりご紹介したつもりです。自分はラーメンも濃厚系よりあっさり系が好きですし(そういう話じゃない)。

それに先日「午後のロードショー」で『ターミネーター』(84)の放送があった際、ブログでサントラ盤のリリース状況などもご紹介済みだったのでした。

だからここだけの話、今回のコラムでは『ターミネーター2』のリバイバル上映のタイミングに乗っかって、音楽について語られる機会の少ない『イレイザー』(96)、『コラテラル・ダメージ』(02)、『大脱出』(13)のスコアをビシッとご紹介したいという思いのほうが強かったのであります。

…そんなわけで、当方のブログでもう少し掘り下げた話を書かせて頂きたいと思います。

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「野球」を通してアメリカの伝統を音楽的に描いたベイジル・ポールドゥリスの隠れた名作『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』のデラックス版スコアアルバム

Varese Sarabandeから2,000枚限定で発売になった『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』(99)の拡張盤スコアアルバムを買いました。

For Love Of The Game (Deluxe Edition) – TOWER RECORDS

ちなみにデジタル版も出てます。
For Love Of The Game (Original Motion Picture Score / Deluxe Edition) – amazon music

ポールドゥリスといえば”『コナン・ザ・グレート』(82)の作曲家“、”『ロボコップ』(87)の作曲家“、”『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)の作曲家“など骨太マッチョなアクション劇伴を得意とする映画音楽家という印象が強いのですが、登板機会の少ないドラマ作品でも優れた手腕を発揮していたことはリスナーの間でつとに有名な話。

中でも『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』は晩年のポールドゥリス(2006年没)が放った決勝ホームラン級の傑作ドラマ劇伴でした。

For Love Of The Game (Original Motion Picture Score) – amazon music

自分は劇場公開当時に映画館でこの作品を観ていたく感動し、映画鑑賞後CDショップに立ち寄ってサントラ盤を買ってから帰宅しました。
ソングコンピ盤とスコア盤の2種類がサントラ出ていましたが、もちろん自分が選んだのはスコア盤です。

通常版のスコアアルバムはこの時期の”Vareseサントラあるある”で収録時間が30分くらいで短かったのですが、今回の拡張盤は全35曲・収録時間78分。”Not on final film”と書かれた曲が3つくらいあるので、本編で使われた劇伴は70分くらいと思われます。

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