『ハンニバル』のサントラ盤でマッツ・ミケルセンのご尊顔を拝むなら、この3枚がいいかもしれないというお話。

アクションチャンネル(旧AXN)で6月23日からテレビシリーズ版『ハンニバル』(2014~2015)の放送があるそうです。

ドラマ版『ハンニバル』の音楽については、日本初放送の頃にブログでご紹介済みです。

今回は「ジャケ写でマッツ様のご尊顔を拝むなら、6枚リリースになったサントラのどれを買うべきか?」ということに話題を絞って書いてみようかなと思います。

結論から申し上げるならば、Season 1のVolume 2Season 2のVolume 2Season 3のVolume 1がオススメでしょう。

続きを読む

TVシリーズ版『ハンニバル』のサントラ盤をフルコンプ。

hannibal_03_01

『レッド・ドラゴン』(02)や『羊たちの沈黙』(91)の前日譚…という設定でスタートしたものの、話が進むとどんどん映画版と違うパラレルワールド的な展開になっていった、TVシリーズ版『ハンニバル』(13~15)。

「クラリスのいない世界だと、レクター博士の恋愛対象はウィル・グレアムになるんだね…」…という感じで、ワタクシそれほど熱心に入れ込んで観ていたわけでもないのですが、気がついたらサントラ盤をフルコンプしてしまっておりました。

『ハンニバル』のサントラ盤は各シーズン2枚ずつ発売されたので、フルコンプということは合計6枚買ってしまったことになるわけです。
正直、シーズン2くらいでもう買うのやめようかとも考えたのですが、やはり手元に4枚サントラ盤があると、全部集めないと何だかスッキリしないので、結局シーズン3まで全部揃えてしまったと。
TVシリーズ版『ハンニバル』の音楽はかなり前衛的なサウンドだったので、3シーズン全てのサントラを買いそろえるのは結構キビしいものがありました。

続きを読む

30 days of night

109シネマズ富谷でヴァンパイア・ホラー『30デイズ・ナイト』(07)を上映中という事で、
富谷はウチから遠いしなぁ、観に行こうかなぁ、どうしようかなぁ悩んだのですが、
結局観に行ってきちゃいました。

30日間太陽が昇らなくなるという、「極夜」のシーズンを迎えたアラスカ州の小さな町
バロウ。そこへ「人間狩り」にやって来たヴァンパイアご一行様相手に、町の住人が
壮絶なサバイバルを強いられる事になる、というホラー映画でございます。いわゆる
ジョン・カーペンターが得意とする「空間限定型スリラー」というジャンルに該当する
でしょうか。個人的には、期待を裏切らないなかなかの佳作でした。

ヴァンパイアが町を停電させたため、全編ほぼ真っ暗闇の中で人間狩りの地獄絵図が
繰り広げられるのですが、「真っ暗で何も見えねぇよ!」ってな映像が延々続いた
『エイリアンズvsプレデター』(07)と違って、闇の中でも誰が何をやっているのかちゃんと
見えるところが素晴らしい。このへんが監督/プロデューサーのセンスの差なんだろうなぁ。
(ちなみに監督は『ハード キャンディ』(05)のデヴィッド・スレイド、製作はサム・ライミです)
黒と青を基調とした闇の描写、雪の白、血の赤が織りなすダークな色彩感覚も格調
高くてよい感じ。

演出面でもなかなか光るものがありまして、この手の映画に欠かせないゴア描写も
さることながら、思わず息が詰まるような心理的な怖さの煽り方が秀逸。ヴァンパイ
アがいつ、どのタイミングで襲ってくるか分からないし、キャスティングが絶妙なので、
誰が生き残って、誰がいつ襲われて死ぬかも予測がつかない。これが映画にヒリヒリ
した緊張感を持たせていて、(いい意味で)気の休まる暇がない。これがいいんです。

主人公の保安官エバンを演じたジョシュ・ハートネットも、「らしさ」が出ていて良かった
と思います。勝ち目のない戦いに身を投じる悲壮感とか、心ならずもヴァンパイア化
した仲間を手にかけた(しかも斧で斬首だもんなぁ・・・)後の絶望的な表情とか、この
あたりは『ブラックホーク・ダウン』(01)のエヴァースマン役を彷彿とさせます。まさか
ホラー映画で涙腺を刺激されるとは思いませんでしたわ(ラストのシーンで)。

エバンと離婚協議中の妻ステラを演じるのは『悪魔の棲む家』(05)のメリッサ・ジョージ。
薄幸そうな美しさにグッと来ます。『ヴァンパイア 最期の聖戦』(98)ではヴァンパイア・
ハンターの割に前半であっさり殺されたマーク・ブーンJr.(ムサいオッサンのボウ役)が
今回は大活躍。最後に男気溢れる死に様を見せ・・・ようとするんですが、結局失敗して
しまうカッコ悪さがこの人の持ち味かな、と思ったり(笑)。脇役キャラの生き様に注目
してみても面白いですぞ。

さてそんな本作の音楽なのですが、無調音と不協和音、歪んだギター音とエネルギッ
シュなパーカッション演奏で構成された、ブルータルかつバーバリックなサウンド。
メロディーというものが全く存在せず、そもそも始めからメロディーを聴かせようという気が
全くない「音響系」のスコアに仕上がってます。

こういう曲を一体誰が書いたのかと思ったら、ブライアン・レイツェルというこれまた意外な
人選。元レッド・クロスのドラマー、ソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』(06)や
『ロスト・イン・トランスレーション』(03)、マーク・フォースターの『主人公は僕だった』(06)の
音楽プロデュース、AIRのサポート・ドラマー、ジェイソン・フォークナー、ロジャー・ジョセフ・
マニングJr.とのバンド「TV EYES」結成など、オシャレ系な印象のレイツェルがまさかホラー
映画のサントラを担当するとは。

音楽的には面白いかもしれないけど、商業的にCD化はキツイだろう・・・と思いきや、実は
サントラ盤が存在していたりします。しかも、マイク・パットンのレーベルIpecacからの
リリース。パットン恐るべし。

アルバムのブックレットには、参加ミュージシャンや使用した楽器の一覧が掲載されて
いるのですが、レイツェルの担当した楽器の数が凄いんですよ、コレが。Sonor Drum Kit、
Boomywang、Englehart Metal Percussion、Monomachine、Syndrum、Circulsonic
Death Tube・・・などなど。楽器の形も音も容易にイメージ出来ません。プリペアード系
の楽器を多く使っているのがポイントかな、と思います。

アルバム単体で聴くにはかなりツライ音楽ですが、映画のヴィジュアルには見事に
ハマってます。ま、非常にクセのあるサウンドなので、強くはお勧めできませんが・・・。