『ザ・ファン』のサントラを補完してみる

the fan

故トニー・スコット監督が「野球の事を全然知らない(興味がない)」のに撮ったというメジャーリーグを舞台にしたサイコ・サスペンス映画『ザ・ファン』(96)。

ロバート・デ・ニーロがうだつの上がらないナイフのセールスマン、ギル・レナード、「黒い中学生」ウェズリー・スナイプスが高給取りのメジャーリーガー、ボビー・レイバーンを演じてます。デ・ニーロがナイフのセールスマンというだけでまず恐い。「ファンはどうでもいい」という”いかにも”な発言をカマすスター選手をイヤミに演じたスナイプスもいい芝居してます。巷の評価はイマイチっぽいですが、僕はこの映画結構好きです。

ボビーの口八丁なエージェント役のジョン・レグイザモ、ボビーのライバル選手プリモ役のベニチオ・デル・トロ、姉御チックなスポーツ記者のエレン・バーキン、放送関係の技術屋役でジャック・ブラック、ギルの元相棒役に『遊星からの物体X』(82)でバケモノになっちゃったチャールズ・ハラハンなど、有名どころの俳優が総出演。

オリジナル・スコア作曲はハンス・ジマー。ギルが「大のローリング・ストーンズ好き」という設定なので、劇中はストーンズの音楽ガンガン!…なのですが、権利関係の都合でサントラ盤には未収録。それだけならまだいいのですが(よくないけど)、その他にも劇中仕様曲がサントラに入ってなくて、その代わりに未使用曲がボーナストラックに入ってたりして、実にありがた迷惑な仕様のアルバムになってます。そういやこの時期にTVT Recordsから出たサントラはこういうのが多かったっけ。

というわけで、サントラ収録曲は以下の通り。

01: DID YOU MEAN WHAT YOU SAID / Sovory
02: LETTING GO / Terence Trent D’Arby
03: UNSTOPPABLE / Mic Geronimo (未使用曲)
04: HYMN OF THE BIG WHEEL / Massive Attack
05: (LET ME UP) I’VE HAD ENOUGH / Kenny Wayne Shepherd
06: LITTLE BOB / Black Grape
07: THE BORDER SONG (HOLY MOSES) / Raymond Myles (未使用曲)
08: WHAT’S GOIN’ DOWN / Honky
09: DELIVER ME / Foreskin 500
10: FOREVER BALLIN’ / Johnny “J” And Big Syke
11: I’M DA MAN / Jeune (未使用曲)
12: SACRIFICE / Hans Zimmer (オリジナル・スコア・メドレー)

ちなみに02はジマー作曲のメインテーマにテレンス・トレント・ダービーが歌詞をつけて歌ったものです。
ジマーのスコアメドレーは19分くらいあります。
ギルの狂気を表現した陰鬱なエレクトロ・スコアがスリリングでいい感じ。

では早速未収録曲を補完して、俺ジナルなサントラを作りましょう。

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『THE GREY 凍える太陽』(音楽について)

the grey

『THE GREY 凍える太陽』(11)はリドリー&トニー・スコットの製作会社「スコット・フリー」の作品という事で、音楽担当は『プロヴァンスの贈りもの』(06)以来リドリーお気に入りの作曲家となったマーク・ストレイテンフェルドが起用される事になりました。

ジョー・カーナハン自身はクリフ・マルチネス、クリント・マンセル、アラン・シルヴェストリと毎回違う作曲家と組んでいるので、スコアにはそれほどこだわりがないのか、あえていろんな作曲家と仕事をしてみたいと思っているのか、まぁそのどちらかなのでしょう。

もともとあまり自己主張が強くない音楽を書き下ろす人でしたが、今回は題材がこんな感じなので、ストレイテンフェルドの作風が功を奏しているというか、音数やメロディーをぐっと抑えた虚無感と寂寥感を感じさせるスコアを作り上げています。悲壮感を漂わせたテーマ曲”Writing The Letter”も結構耳に残るメロディーではないかと。「これからヤバい事が起こるぜぇ」という危うい空気感をバスサックスの音色で表現している点もなかなか手が込んでます。

というわけで、手堅い仕事をしているストレイテンフェルドではあるのですが、ハンス・ジマーのもとで下積みをした作曲家でありながら、個人的にはリモート・コントロール色が極めて薄い音楽を作る人という印象があります。

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『ダークナイト ライジング』のサントラ盤ボーナストラックを検証する

the dark knight rises

おとといAmazonから『ダークナイト ライジング』(12)の輸入盤が届きました。
自分の場合、最終的に940円で買えてしまいました。

「輸入盤とはいえ、超大作のサントラが940円で買えちゃっていいのかなぁ…」などと、柄にもなく円高ドル安をはじめとする経済情勢などあれこれ考えてしまって、非常に複雑な心境になりました。

さて今回のサントラ盤、15曲で52分弱でした。

THE DARK KNIGHT RISES – Original Motion Picture Soundtrack (amazon)

本編が2時間44分ある事、そして前作『ダークナイト』(08)のサントラ盤が収録時間73分強(特装版のDISC2は50分強)だった事を考えると、ボリューム的に何か物足りないという印象があります。この場合のボリュームというのはあくまで収録時間や収録曲数的な話で、音楽の出来はまた別のお話。

が、しかし。どうやらこれはレーベル側も計算ずくの売り方のようで、アルバムをいろんな形態でリリースし、それぞれ違ったボーナストラックをつけて稼ごうという思惑らしい。

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シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム(音楽について)

a game of shadows

今回は『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』の音楽について書こうと思うのですが、例によってライナーノーツと同じ事をここで書いても意味がないので、何か別な事を書きたいと思います。

作曲は前作に引き続きハンス・ジマー(と一応ローン・バルフ)。「前作と同じ雰囲気の音楽」というレビューをよく見かけますが、2度3度とアルバムを聴き込んでいくと、「だいぶスコアのノリを変えてきたなぁ」と、最初とは違った印象を受けるのではないかと思います。
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IMMORTALS -神々の戦い-

immortals

ミッキー・ロークの凶悪ヒールっぷりを大画面で見たくて、『インモータルズ 神々の戦い』(11)を劇場にて鑑賞。

結論としましては、個人的に大満足の映画でした。何と言ってもロークの演じたハイペリオンの極悪非道っぷりが素晴らしい。登場キャラが多すぎて後半で影が薄くなった『アイアンマン2』(10)のウィップラッシュとは違い、ハイペリオンは最後まで見せ場があるし、テセウスとのラストバトル(肉弾戦)もなかなかの迫力。テセウス役のヘンリー・カヴィルも骨のある二枚目という感じで好印象。『TUDORS -背徳の王冠-』のブランドン役でもいい演技をしていたので、今後大成してくれるといいのですが。

監督が『ザ・セル』(00)のターセム・シンという事で、今回もヴィジュアルがギラギラ。そして斬首・串刺し・胴体輪切り・真っ二つ・頭部粉砕などの残虐描写が凄まじかった(一番ヒドいのは巫女様の蒸し焼きだったな・・・)。『ザ・セル』の時も馬の輪切りとか巻き上げ機(何を巻き上げたかはあえて言いませんが)とかのグロ描写が多かったし、ターセムという人はちょっとサドっ気のあるのかもしれない。

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