ワイルド・スピードMEGA MAX(音楽について)

fast five_score

『ワイルド・スピードMEGA MAX』(11)の音楽を手掛けたのは、ジャスティン・リン監督の”ダチ”とでも言うべき作曲家のブライアン・タイラー。このシリーズには『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(06)、『ワイルド・スピードMAX』(09)に続いての登板。

例によってスケール感のあるオーケストラにロック楽器(ギターとかドラム)をミックスしたド派手なスコアを聞かせてくれているのですが、今回はブラジル音楽の要素を大胆に導入しているのがポイント。ドラムスとパーカッションを聞かせたノリのいいサウンドがなかなか新鮮。

打楽器をふんだんに使ったスコア、というと真っ先に思い出されるのがジョン・パウエルではないかと思うのですが、ノリ的には彼の『ナイト&デイ』(10)とか『ミニミニ大作戦』(03)あたりの音楽に近い。本作のタイラーの場合、それに加えてロック、ヒップホップ、エレクトロニカなどの音楽もガンガン取り入れてます。「ロック感覚で聴けるオリジナル・スコア」という感じで、一見さんにも敷居の低いスコア・アルバムに仕上がってます。映画を見たら、「ああ、そういやあの場面の曲ノリノリだったなー」みたいな感じで、スコア盤が欲しくなるようなサウンドではないかと思います。

私事で恐縮ですが、今年の夏はライナー原稿を書き終えてからもこのサントラを聴きまくりました。何度聴いても飽きないんだ、これが。

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ワイルド・スピードMEGA MAX(映画について)

fast five comp

先月上旬に内覧試写に行ってきたのですが、これがめっぽう面白かった。

シリーズ5作目で、しかも上映時間が2時間10分と聞いた時には「こりゃいろいろ詰め込みすぎてダレるのでは?」と思いましたが、ドラマの見せ方やアクションの演出が巧いので、長さを全く感じさせませんでした。「シリーズ最高傑作」の売り文句はダテじゃない。

今回はこれまでの『ワイルド・スピード』シリーズに登場したドミニク&ブライアンの仲間たちがほぼ全員登場するのですが、役割分担が的確かつキャラ設定がしっかりしているので、「この人要らなくない?」というキャラが一人もいないのが素晴らしい。

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『マイ・ボディガード』のサントラにアルバム未収録曲を自前で補完してみたお話。

自分は以前『マイ・ボディガード』(04)の国内盤サントラに音楽解説を書かせて頂きました。もう時間(というか”年月”ですね…)が経ってしまったので廃盤&在庫切れですが、デジタル版では容易に手に入ります。

Man On Fire (Original Motion Picture Soundtrack) – amazon music

こちらはハリー・グレッグソン=ウィリアムズの劇伴を収録したスコアアルバムなので、本編で使われた既存の楽曲は未収録です。したがって完全版サントラ作りたければ劇中でどんな既製曲が使われたか自分で調べて、自前で補完しなければなりません。

とりあえず「このあたりの曲は押さえておきたい」という有名どころの曲をざっとご紹介したいと思います。

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The Hire – Beat The Devil

今月はザ・シネマで『マイ・ボディガード』(04)を放送していますが、この映画のベースになっているのは短編『The Hire – Beat The Devil』(02)なんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

『The Hire』はBMWが製作した10分前後のコマーシャル短編映画で、クライヴ・オーウェンがBMWのドライバー役で主演しています。CMとはいえジョン・ウーやアン・リー、ジョー・カーナハンなど錚々たる映画監督が演出を手掛けており、短編ながらなかなか見応えのある作品になってます。

『Beat The Devil』はトニー・スコットが演出を手掛けた一編。若い頃に悪魔と契約して成功を収めたジェームズ・ブラウン(本人)が、悪魔(ゲイリー・オールドマン)に契約内容の不備を訴えたところ、ストリートレースで勝ったら内容を見直してやると言われ、ドライバー(オーウェン)と共にストリートレースに挑む事になる、みたいなお話。悪魔の側近(付き人?)役でダニー・トレホが出ているのがポイント高いです。ゲイリー・オールドマンのイカレっぷりも最高。

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CHLOE

chloe

アトム・エゴヤン監督作『クロエ』(09)を見てきた。

このタイミングならDVD化されるまで待っていてもよかったんですが、エゴヤンの映像美とマイケル・ダナの官能的な音楽の融合を劇場で味わってみたかったので、あえて映画館にて鑑賞。

夫デビッド(リーアム・ニーソン)の不倫を疑った妻キャサリン(ジュリアン・ムーア)が、若く美しい娼婦クロエ(アマンダ・セイフライド)に「自分の夫を誘惑して、彼がどんな行動を取ったか報告してほしい」と”仕事”を依頼した事から、夫婦関係・親子関係が破綻していくというお話。「疑惑」と「嘘」がジワジワと人間関係を蝕んでいく展開とか、キャサリンとクロエが倒錯した性の世界にのめり込んでいくアヤしい展開なんかは、いかにもエゴヤン映画というノリ。とはいえ、この映画を「悪女もの」とか「官能サスペンス」とジャンル分けするにはあまりにも悲しい物語ではありますが。

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