先日、綱渡り師フィリップ・プティの実像に迫る『マン・オン・ワイヤー』というドキュメンタリー映画のサントラ盤のお仕事をやらせて頂きました。
ユニバーサルミュージックからこの作品のサントラ盤がリリースになりましたが、
音楽をあのマイケル・ナイマンが担当しております。
担当、というのはちょっと適切な表現じゃないかもしれません。
と申しますのも、この映画の音楽はナイマン本人の了承を得た上で、
彼の過去音源を”再利用”する形で構成されているからなんです。
先日、綱渡り師フィリップ・プティの実像に迫る『マン・オン・ワイヤー』というドキュメンタリー映画のサントラ盤のお仕事をやらせて頂きました。
ユニバーサルミュージックからこの作品のサントラ盤がリリースになりましたが、
音楽をあのマイケル・ナイマンが担当しております。
担当、というのはちょっと適切な表現じゃないかもしれません。
と申しますのも、この映画の音楽はナイマン本人の了承を得た上で、
彼の過去音源を”再利用”する形で構成されているからなんです。
先日『ワールド・オブ・ライズ』(08)をDVDで観たのですが、いやーヨルダン情報局の局長ハニ・サラームはクールでカッコいいですな。
砂漠のど真ん中でもダークカラーのスーツを着用。洗練された物腰と、「決して(私に)嘘をつくな」と凄みを利かせる時の不敵な存在感。CIAのエド(ラッセル・クロウ)がメタボ体型の食えないオッサンなので、ハニのカッコよさがさらに引き立ってます。
ま、結局この人がレオ様を囮にしてアル・サリームを逮捕したわけですが(看護婦さんのアイシャ誘拐を偽装したのも実はこの人)、拷問で指を潰されたレオ様を間一髪の所で救出。しまいには満身創痍のレオ様に「彼女の愛は自分で勝ち取れ」と余裕たっぷりにアドバイス。ハニ・パシャ、マジで格好良すぎます。
そのハニ・サラームを演じているのは、イギリス人俳優のマーク・ストロング(1963年生まれ)。『アンタッチャブル』(87)の頃のアンディ・ガルシアを彷彿とさせる、「端正」で「濃い」タイプの役者ですな。『シリアナ』(05)にも出ていたので、てっきり中東系の血が入っているのかと思いましたが、どうも父親がイタリア人らしいので、そっち系の「濃さ」みたいです(ちなみに本名はMarco Giuseppe Salussoliaというそうで、母親はオーストラリア系との事)。
そういえば、『リボルバー』(05)で演じた神経症のヒットマン・ソーター役も、過度な拷問に嫌気がさして仲間のチンピラを射殺するという人情味溢れる行動(?)にグッと来たし、『ロックンローラ』(08)で演じたヤクザの親分の腹心アーチー役(ナレーションも担当)もオイシイ役どころでしたなぁ。「切れ者」って点でハニ役に通じるものがあります。
『バビロン A.D.』(08)は何となく登場してあっさり消されるチョイ役でしたが、トータルで見るとよい作品/役柄に恵まれているのがこの方のポイントでしょう。
特にリドリー・スコットとガイ・リッチーにはかなり気に入られたらしく、リッチーの新作『Sherlock Holmes』(09)ではホームズの宿敵Lord Blackwood役、リドリーの次回作『Robin Hood』(10)ではSir Godfrey役を演じる予定だそうで、これはもうブレイク必至かと。こういう味のある演技巧者が脇を固めると、映画も3割増しで面白くなるなぁ、と思った次第。
他にも『サンシャイン2057』(07)とか『トリスタンとイゾルデ』(06)とか『オリバー・ツイスト』(05)にも出演しているので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
野球で例えるなら、2番打者の如き堅実さでリスナーの皆さんからご好評頂いている
Charlie DeChantのアルバム『Like the Weather』ですが、今日から一般販売開始です。
AmazonやHMV、タワーレコードのオンラインストアでも取り扱い開始となった模様。
レーベルの通販サイトでもオーダーを受付中ですので、ぜひぜひコチラもご利用下さい。
さてその『Like the Weather』ですが、何とも有難い事に人気声優・古川登志夫さんの
オフィシャルwebサイトでご紹介頂きました! ありがとうございます!!
古川さんと言えば『うる星やつら』の諸星あたる役や『機動戦士ガンダム』のカイ・シデン役
などで超有名ですが、過去に「SLAP STICK」というかなり本格的なバンドを声優仲間で
組んでいたミュージシャンでもあります(古川さんはギターを担当。ホール&オーツでいう
ところのJohn Oates的ポジション?)。
詳しいレビューは古川さんのwebサイトをご覧頂くとして、古川さんが書いて下さった
「ポエジーなナレーションを語り出したくなるような心地よさがある」という一文に、
ワタクシ思わず「おお、言われてみれば確かに・・・!」と唸ってしまいました。
“Blue Song”や”Afternoon”をバックに、古川さんのポエジーなナレーションが入った
番組がカーラジオから流れて来たら、そりゃもう気分は最高になるんではないかと。
『グランド・セフト・オート』シリーズで、あらゆるラジオ局を聴きまくったワタクシが言って
いるんですから、間違いありません(我ながら説得力のない自信ですな:笑)。
・・・というわけで、『Like the Weather』はドライブ中のBGMにも最適です。カーステレオに
常時セッティングしておくようなCDをお探しの方は、ぜひぜひこのアルバムをお試しあれ。
今度の「日曜洋画劇場」で『ファイヤーウォール』(06)を放送するという事で、
本日はそのお話。
ランブリング・レコーズのMさんからライナーノーツの執筆依頼を頂いたのは、
2006年1月下旬の事でした。
原稿の〆切りが2/17で、
映画の内覧試写が2/10という結構ギリギリなスケジュールだったのですが、
いざ本編を観たら〆切りの事など忘れて、
二人で「いやーなかなか面白かったですねぇ」と言いながら、
しばし映画談義で盛り上がってしまったのを覚えています。
「ニコラス・ケイジの不自然な髪型が気になって、映画に集中出来ない」など、本筋と
あまり関係のない感想が聞こえてくる『バンコック・デンジャラス』(08)を日曜に鑑賞。
(確かに『ダ・ヴィンチ・コード』(06)のトム・ハンクスみたいな不自然な髪型でしたが・・・ )
オキサイド・パン&ダニー・パン監督のタイ映画『レイン』(00)のセルフ・リメイクなのですが、
やはりというか何というか、かなりキャラ設定をいじってます。
オリジナル版の主人公は耳の聞こえない青年コンでしたが、リメイク版の主役は彼を
プロの殺し屋に鍛え上げるジョー(ニコラス・ケイジ)の方です。で、コンの「生まれつき
耳が聞こえない」という設定は薬局勤務の女性フォン(チャーリー・ヤン)に転用され、
フォンと恋に落ちるのはコンではなくジョーになってます(ちなみにリメイク版のコンは
クラブダンサーのオームというおねーちゃんに萌え萌えになります)。
ま、前評判よりはそこそこ楽しめた映画だったように思うのですが、最大の難点は
ケイジの髪型・・・ではなく、「彼が冷酷無比な殺し屋に見えない」という事ですな。
基本的にケイジは悪役を演じる時も、どこかしら茶目っ気というか愛嬌を持たせるタイプの
役者なので、暗殺者を演じるにはどうも人間味がありすぎるような気がしました。
「ケイジが演じてるキャラなら、絶対ただの冷徹な殺し屋じゃないよねー」という先入観を
持って映画を観てしまうというか。その辺がちょっと緊張感に欠けるかなぁ、と思いました。
『ディア・ハンター』(78)とか『デッド・ゾーン』(83)の頃のクリストファーウォーケンとか、
『エンゼル・ハート』(87)の頃のミッキー・ロークあたりだと、こういう役がハマるのかな。
やっぱり暗殺成功率99%の殺し屋を演じるなら、もっとニヒルな感じでないと。
フォンの前でタイの激辛料理を食って悶絶した時の「困り顔」が、一番ニコラス・ケイジ
らしい瞬間だったような気がします(笑)。殺し屋としてこれはどうかと思うなぁ。
ただ、あの切ないラストで映画がスパッと終わるのは良かったです。もしこれがブラッカイマー
映画だったら、ジョーの「あの行動」の後に「コンとオームの結婚式」とか「フォンのその後」
みたいな余計な映像を足して、エンドタイトルでベタな主題歌(もちろんバラード)を流して
映画の余韻を台無しにするような気がするので・・・。
本作の音楽は、超売れっ子作曲家のブライアン・タイラーが担当しています。この方、
以前は割といろんなジャンルの映画の音楽を手掛けていたように思うのですが、最近は
『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(06)、『イーグル・アイ』(08)、『ランボー 最後の
戦場』(08)とか、アクション映画の仕事が続いている様子。
果たして今回の音楽はというと、ほぼ上記作品と同じ感じ。オーケストラに打ち込みと
ナマの打楽器のリズムを組み合わせた、「燃えるアクション・スコア」を鳴らしています。
タイラー自身も自らオーケストラを指揮している他、パーカッション、ギター、ピアノ、
数種類の弦楽器を演奏してます。
ま、どの楽団が演奏してもあんまり変わらない感じのサウンドかな、と思うのですが、
演奏はこだわりのプラハ交響楽団。なぜにプラハ・フィル?そういえば映画の冒頭で
ジョーがプラハで仕事していたけど、それが理由じゃないよなぁ。
何はともあれ、音楽はよい感じです。ジョーの暗殺ミッション時に流れる「Assassin」は
オーケストラのキレのある演奏と強烈なビートがなかなかアツいし、後の悲恋を予感
させる「Fon’s Theme」の哀愁のメロディーは男泣き必至。
一部で「鳴らしすぎ」とか「騒々しい」と評される最近のタイラーですが、このテのB級
(準A級)アクション映画は、これぐらい派手に鳴らしてくれないと逆に物足りませんって。
サントラ盤は輸入盤で入手可能。スコアが78分弱収録されているので、CDのお値段
から考えるとかなりお得な気がします。