MILK


数日前、ユニバーサルミュージックのMさんから『ミルク』のサンプル盤を
送って頂きました。どうもありがとうございました。そういえば、映画の公開も
そろそろだったなぁ。

カレンダーを調べてみると、ワタクシがこの映画を試写で見たのは1月29日でした。
その時点で既にあらゆる映画賞を受賞していて、何だかスゴイ事になって
いるらしいという事で、ユニバーサルさんも配給会社さん(ピックス)も宣伝に
ヒジョーに気合が入っていたのを思い出しました。

で、本編を見た感想はというと、こりゃ確かに見応えのある映画だわ、と。
同性愛者としてアメリカで初の公職に就いた政治家の物語という事で、
実はワタクシこの手のテーマがちょっとばかり苦手だったんですが(ミルク
とスコット・スミスの馴れ初めのシーンとか・・・)、その点を差し引いても、
本当に素晴らしい映画だなと思いました。

このハーヴィー・ミルクという人は「同性愛者の人権解放」を目指して奮闘
していた政治家だったのですが、それ以外にも高齢者や労働者、女性
といった1970年代当時まだまだ社会的立場が弱かった人々のために
尽力した人でもあったのです。そんな彼の誠実さがまた涙を誘うんですよ。

グダグダ感の漂う今の日本の政界を見ていると、「こういう世のため人の
ために尽くしてくれる政治家はいないのかなぁ」などと思ってしまいます。

1960年代から70年代のアメリカといえば、リベラルな思想に憧れる人が
出始めてきた反面、まだまだ保守的な色合いが強い時代でもありました。
そんな中で同性愛者である事をカミングアウトするというのは、相当
リスキーかつ勇気の要る事だったんだろうな、と思います。この映画で
描かれているように、カミングアウトは命に関わる問題だったのでしょう。

この映画を観ると、いわゆる「保守派」と呼ばれる人たちの考え方とか、
その根底にある思想がよく分かるので、そういう意味でもなかなか
興味深い作品になっています。アメリカという国は、今も昔も両極端な
ところがありますな。

さてそのミルクを演じたショーン・ペンなんですが、ナヨっとした仕草とか、
やけに柔和な笑顔とか、見事にゲイになりきっておりまして、あの変わりっ
ぷりは『カリートの道』(93)の薄毛の悪徳弁護士役以来の衝撃でした。

ショーン・ペンといえばやれパパラッチを殴っただの、オリヴァー・ストーンを
「ブタ」呼ばわりしただの、数々の武勇伝(笑)を持つワイルドなお方ですが、
そんな粗暴な一面など微塵も感じさせない役作りは、確かにオスカーに
値する演技なのかな、と思います(「完璧に別人になりきった」という意味で)。

ホントは今年のアカデミー賞主演男優賞はミッキー・ロークに獲ってもらい
たかったんですが、まぁ相手がペンなら仕方がないか、と。

ガス・ヴァン・サント監督作品といえば、サントラも毎回秀逸な出来なのですが、
話が長くなってしまったので、音楽については後日改めて書かせて頂きます。

   

トロピック・サンダー

昨日、TSUTAYAに寄ったらDVDがレンタル開始になっていたので借りてきました。

まぁ、去年映画館で見てるんですけどね。このテの映画は初見だといろいろ
小ネタとか見逃しがちなので、DVDでしっかり観ようと思ったわけです。

しかしアレだ、いつ見てもスゲェ映画だなと(笑)。手間暇かけて(+お金も)バカをやるというのはヒジョーに痛快です。コメディーっていうのは、基本的に大まじめにバカをやらなきゃダメなんですよ。フザケた映画でも、やってる本人はフザケちゃいけないという。

冒頭のフェイク予告編も凝ってますな。いちいち配給会社のロゴまで出してくれるんですが、『スコーチャー6』がユニバーサルで『ファッティーズ2』がニューライン・シネマ、『悪魔の小路』がフォックス・サーチライトってのがまた「よく分かってるな」と。
配給会社の作品傾向をキッチリ押さえてます。

本編については、あちこちの映画誌やらブログやらで言及されているだろうからここでは割愛。そのかわり劇中の音楽についてちょっと触れさせて頂きます。

ベン・スティラーは自身の監督作で毎回ポップ・ミュージックをガンガン流すのですが、
今回は「ベトナム戦争映画でありそうな曲」をテーマに懐メロをセレクトしております。

映画冒頭のThe Temptationsの「Ball of Confusion (That’s What the World is Today)」を筆頭にローリング・ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」、Ten Years Afterの「I’d Love to Change the World」、Steppen Wolfの「The Pusher」、Buffalo Springfieldの「For What It’s Worth」、ニック・ノルティが火炎放射器をブッ放すシーンで数秒だけ使われるThe Edgar Winter Groupの「Frankenstein」など、まぁ見事なラインナップです。立て続けに聴くと退廃的な気分になる事うけあい。

『ファッティーズ2』の予告編でQuiet Riotの「Cum On Feel the Noize」が使われているんですが、これは「Feel the Noize=オナラの音を聴け」って事でしょうか。

あと予告編といえば『悪魔の小路』ではEnigmaの「Sadness, PT.1」が使われておりまして、これがまた見事なハマリっぷり。あの映画のああいう場面にこういう曲を持ってくるセンスがたまりません。

タグのエージェント、リック(マシュー・マコノヒー)のケータイの着うたがDan Hillの「Sometimes When We Touch」というのも、ありがちでナイスな選曲。

ハゲヅラ装備のトム・クルーズが『卒業白書』(83)の如く踊りまくる曲は、Flo Rida featuring Faheem Najmの「Low」とLudacrisの「Get Back」。
後者はエンドクレジットの曲です。トム様とヒップホップという組み合わせが絶妙。

トドメは劇中とエンドクレジットで合計2回使われるThe Crystal Methodの「The Name
of the Game」。映画ファンには『ブレイド2』(02)とか『バリスティック』(02)でもおなじみの曲ですな。

で、スコア作曲は『俺たちフィギュアスケーター』(07)のセオドア・シャピロ。
ギターがギャイーン!打楽器がドンドコドコドコ!みたいな感じで、コメディー映画らしからぬむやみにアツい音楽で盛り上げてくれますぞ。

さてサントラ盤はと申しますと、Lakeshore Recordsからコンピ盤とスコア盤の2種類がリリースになってます。コンピ盤は大半の曲を押さえてありますが、ストーンズやリュダクリス、バッファロー・スプリングフィールドの曲は未収録。
このあたりがちと残念ですが、まぁストーンズの曲はなかなかサントラ盤に収録されませんからね。『カジノ』(95)とか『ザ・ファン』(96)もそうでしたし。

何にしても、2枚まとめて聴けばお腹いっぱいというか、とても暑苦しい気分になるので、ハイになりたい時にオススメ。

ジャケットもむさ苦しい+暑苦しい感じでステキです。

MILK BOSSA acoustic

先日、いつもお世話になっているフレイヴァー・オブ・サウンドのNさんと電話でお話し
した際、「最近、MILK BOSSAの新作を出したんですよー」という情報を聞きまして、
ありがたい事にサンプル盤を送って頂きました。

まずこの場を借りてNさんとSさんにお礼申し上げます。どうもありがとうございました。

・・・というわけで、「MILK BOSSA」シリーズについて簡単にご説明致しますと、
洋楽のヒット曲を毎回特定のテーマに基づいて、ボサ・ノヴァ・アレンジで心地よく
カヴァーしてしまおうじゃありませんか、という人気企画盤でございます。

1作目は特にテーマがなかったような気もしますが、2作目は「eighties」(ニュー・
オーダーとかシャーデーなど)、3作目は「Marcela(ロベルト・メネスカルの実娘)が
選ぶカヴァー集」、4作目は「AOR」(ボビー・コードウェルとかフィル・コリンズなど)
をテーマに誰もが知っているヒット曲をカヴァーしてきたわけですが、今回は
「acoustic」がテーマとなっておりました。

つまり、カヴァーする原曲もアンプラグドでアコースティックな感じの曲を選んで
みましたという事ですな。

ギルバート・オサリバンの「Alone Again」とか、スザンヌ・ヴェガの「Luka」、ロバータ・
フラックの「Killing Me Softly With His Song」(『アバウト・ア・ボーイ』(02)でネタに
されていた曲です)・・・といえば大体どんな感じがお分かりになるかと思います。

もともとアコースティックな曲なんで、ボサ・ノヴァとも相性抜群。ソフトなヴォーカルと
柔らかいギターの音色が何とも心地よいです。原曲を知っている人は「なるほど、
そういう解釈でカヴァーしたか」と思いながら聴いてみるのもまた一興。

個人的に一番ツボだったのは、ニール・ヤングの「Only Love Can Break Your Heart」
のカヴァーですかね。幸宏さんのカヴァー(「A Day in the Next Life」収録)で何度も
聴きましたし、つい先日もライブ盤「A Night in the Next Life」の完全版で聴いた
ばっかりだったもんでして。「なるほど今回はこういうカヴァーで来たか」と、言ってる
そばから先に述べたような聴き方をしてしまいました。これが音楽ライターの性って
やつなんでしょうか。

何はともあれ、ボサ・ノヴァ好きの方はシリーズごと押さえておきたい一品でしょう。

『MILK BOSSA acoustic』
レーベル:フレイヴァー・オブ・サウンド
品番:PUCY-1068
定価:2,000円

    

Charlie DeChant

うーん、何だか仕事から帰ってきてからミョーに風邪っぽいので、
本日はさくっと重要なお知らせをして終わりです。

体調不良を押してまで一体何を書くのかと申しますと、
レーベル第2弾リリース作品のお知らせです。

今回は洋楽。しかも大物アーティストでございますぞ。

「Maneater」、「Private Eyes」などの大ヒット曲で知られる、1980年代を代表する
ポップ・デュオ、Daryl Hall & John Oates。

彼らのバンドで30年以上活躍し、クールでファンキーで艶やかなサックス・プレイで
観客を魅了するCharlie DeChant(チャーリー・デシャント)というアーティストを
ご存じでしょうか?

ホール&オーツのファンから「Mr. Casual」の愛称で親しまれているチャーリーさんの
セカンド・ソロ・アルバム「Like the Weather」(2006年作品)を、このたび日本版
オリジナルのジャケット・デザインで弊社からリイシュー致します!

既に7割方いろいろと出来上がってきているのですが、正式なリリース日などが
決まり次第、また改めてブログや弊社HPでお知らせ致します。

乞うご期待!

・・・というわけで、誠に申し訳ありませんが、本日(25日)の通信販売の受注・
発送作業はレーベルオーナーが風邪でダウン中という事で、お休みさせて頂きます。

復活したらブログでお知らせします。情けなくってスイマセン。

 

100 Greatest Hard Rock Songs

この前MTVで放送していた『100 Greatest Hard Rock Songs』をビデオで見ました。

以前のブログで書いた『100 Greatest Songs of the 80s』と同じ放送局が
製作した、視聴者投票形式のハードロック・ベスト100みたいな番組ですな。

ワタクシこんなスバラシイ番組(笑)がある事に気がつかなくて、TVをつけた
頃には既に80位まで進んでおりました。

その日は仕事があったので、タイマー録画にして出掛けてしまったのですが、
後になってビデオを見てみたら、何とも嬉しいサプライズが!

・・・クリス・ジェリコがコメンテーターとして出演しているじゃありませんか!!

いやー、あんなに陽気で気さくなジェリコさんを見たのは久しぶりだったんで
嬉しかったです(最近のRAWじゃダークなヒール街道まっしぐらだし・・・)。
コメントもロック好きの悪ガキっぽくてナイス。

しかもジェリコさんの肩書きが「WWE Superstar / Author」ってのが笑える。
Authorって・・・自伝を1作出版しただけでしょうにと(笑)。多分、「オレの
肩書きはこうしてくれよ!」って自分で言ったんだろうなぁ。
どうせなら「WWE Superstar / Fozzy」にすればよかったのに、と思ったり。

さて肝心の内容はと言いますと、Steppen Wolf、KISS、Aerosmith、Bon Jovi、
Guns N’ Rosesといった大御所から、Faith No MoreやStone Temple Pilots、
Soundgarden、Foo Fightersなどなど、ここ30年のハード・ロックの歴史がひと目で
分かる豪華ラインナップ。Deep Purpleのあの曲ももちろん上位にランクイン。

『グランド・セフト・オート バイスシティ』のV-Rock、あるいは同『サンアンドレアス』の
Radio-XやK-DSTといったラジオ局をヘビーローテーションしている人にはたまらん
番組ではないかと。

実際、Living Colorの「Cult of Personality」とかMegadethの「Peace Sells」、
Anthraxの「Madhouse」、Twisted Sisterの「I Wanna Rock」、Foghatの
「Slow Ride」なんてGTAのサントラでも使われてたもんなぁ。つくづく選曲
センスのいいゲームだわ、このシリーズ。

で、まぁお約束として当時活躍したロックンローラーたちがコメンテーターとして
登場したんですが、なんつーか、不良中年の見本市というかクロマティ高校の
同窓会というか、いかにも「ワル」といった雰囲気を漂わせた枯れたオッサンが
一堂に会する姿は一種の凄みを感じさせると共に、マンガのような笑いを誘い
ました。Iggy PopとかDavid Coverdaleとか、ルックスがステキすぎ(笑)。

来月再放送とかやってくんないかなぁ・・・。